「芸術村」2000人心酔/世界民族祭閉幕

◎生き生き舞台 生徒らと共に

 過疎の山村に芸術家らが集まり世界各地の文化や芸術を発信する祭典「世界民族祭」が23日、紀美野町真国宮の「りら創造芸術高等専修学校」であり、同校の生徒や世界各国の芸術家らが伝統芸能や創作舞踊、音楽などを次々と披露した。この日だけで県内外から約2千人の観客が訪れるほどの盛況となり、2日間の日程を終えた。(宮崎亮)

 祭典は、「芸術は世界を一つにつなぐ」をテーマに、舞台公演や創作を通じた人間教育を目指す同校と、地域住民らでつくる実行委員会が主催している。

 この日、「りら」の生徒たちは、練習と公演を重ねて完成度を高めたタップダンスを踊った。生き生きした表情で演技を見せる生徒らに、観客は大きな拍手を送った。続いて日本で暮らすペルーや韓国、中国の人たちが民族舞踊を披露。松井彬さんによる能、尺八やオペラといった音楽が次々と舞台で演じられた。

 トルコ出身のベリーダンサー、バーヌ・ムズラックルさん(30)ら8人によるベリーダンスには、最も観客が集まった。バーヌさんは女性客20人ほどを舞台前に招き、手ほどきしながら一緒に踊った。バーヌさんは「青空と緑に囲まれて、自分を妖精だと思って踊りました。地元の人にトルコやいろんな国のことを知ってもらえたと思う」。

 会場に並んだ世界の料理や雑貨を紹介するブースもにぎわい、外国人客の姿も目立った。地元の民家に泊めてもらい、この日、歌で舞台に参加したザンビア出身のウィザ・カバイエさん(29)は「4世代のご家族で、温かく迎えてもらった。お風呂が気持ちよくて、出たくなかったぐらい」と感謝していた。

 閉会式では、地元の伝統にならい、舞台の上から山上範子校長(53)ら関係者が観客に向かって約1600個のもちをまき、2日間の祭典が幕を閉じた。3年生の木村勇祐君(18)は「予想よりずっとたくさんの人が来てくれて驚いた。昨日の雨でぬかるんだグラウンドに板を敷いてくれるなど、地元の人の協力のおかげ」と話した。

 期間中の日程すべてを見届けたという地元の中谷静子さん(79)は「こんな出来事は生まれて初めて。礼儀正しくやさしい生徒たちのおかげで、このまちが活気づいた」とうれしそうだった。

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