有馬家霊屋、合川のあげ舟など 県文化財に3件指定

県教委は2日、17世紀前期から中期に建てられた久留米藩有馬家霊屋(久留米市京町)や、1916(大正5)年に旧合川村が村費で購入した「合川のあげ舟」(同市合川町)など計3件を県文化財に指定することを決めた。八女市黒木町の「黒木の共同風呂の習俗」は指定保存が困難なことから、記録作成の措置を講ずべき無形の民俗文化財に今回初めて選んだ。

 有馬家霊屋は5棟の建築群と墓塔・供養塔から構成。全国でも有数の旧大名家の墓所で、全体として建築当時の様式をよくとどめているという。梅林寺の敷地内にある。

 あげ舟は全長8・4メートルで最大幅1・4メートル、最大の深さ37センチ。合川小に備え付けられ、久留米市が所有している。水害時の避難や物資の運搬が目的で、1953年の大水害時には、この舟で全児童を無事に帰宅させることができたと久留米市史に記録されているという。

 ほかの1件は、志免町の「志免鉱業所跡竪坑(たてこう)および第八坑関連地区」。竪坑櫓(やぐら)は国の重要文化財に指定されており、今回は地表部分の約500平方メートルなどが対象。創業から廃業まで一貫して国営で、採掘から選炭までの一連の流れをよく伝えるとして評価された。今回の3件で、県指定文化財は計662件となる。

 また、黒木の共同風呂は大正時代には既に存在していた。建物は木造平屋の瓦ぶきで、休業日の年末年始と水曜日以外は毎日十数人が利用。3月から休止したが、先月まで地域の7軒で運営してきたという。

 そのほか、2000年に焼失した福岡城大手門の復元工事が昨年11月に完成したのに伴い、名称を「福岡城大手門(渦見門)」から「福岡城下之橋御門(しものはしごもん)」に変更することも決めた。

=2010/03/03付 西日本新聞朝刊=

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