風呂代惜しい…京大病院“バス”ジャック

せっけんにシャンプー、タオルを持って病院通い-。京都市の京都大病院の入院患者用浴室を無断で使ったとして、京都地検が建造物侵入の罪で、同市北区に住む無職友田潔志被告(56)を起訴していたことが13日、分かった。京都府警が4月に現行犯逮捕していた。府警によると、友田被告は「お金がなく、風呂を沸かすのがもったいなかった」などと供述しているという。また、同被告は供述調書に弟の名前を記入したとして同日、署名偽造などの疑いで再逮捕された。

 府警によると、友田被告は4月20日の夕方、京大病院の北病棟4階にある患者用浴室に無断で入っているところを現行犯逮捕された。2~3人は入れる広めの湯船に1人でつかっている同被告を、入浴しようとした男性患者が発見。入院患者を識別するためのリストバンドをしていないことを不審に思い、看護師に報告した。

 警備員が浴室に駆け付けたところ、友田被告は脱衣スペースのいすに座り、湯気を立ち上らせながらくつろいでいたという。患者ではないことを確認した警備員が取り押さえ、警察に通報した。府警によると、友田被告は「お金がなく、風呂を沸かすのがもったいなかった。大きい病院なら簡単に侵入できると聞いた」と供述。所持品は使用済みのせっけん、シャンプー、タオルなどで、現金は約3000円を持っていた。

 北病棟4階は神経内科や放射線治療科などが入り、基本的に病院関係者以外立ち入り禁止。友田被告は一般外来から入り、見舞客を装って病棟まで侵入した。病院関係者によると、入院患者の入浴日は男女日替わりで、男性は火、木、土曜日。時間も午後1時から同5時までと決められているが、この時間帯なら自由に入れるという。“お風呂セット”持参といい、病棟侵入の手際のよさといい、友田被告は事前に下調べし、入浴機会を狙っていたとみられる。

 京大病院は病床数1182床、外来患者ら1日平均約2600人が訪れる大病院。病院関係者は「見舞客は必ず受け付けをすることになっているが…。とにかく初めてのことなので驚いている」と話した。

 府警によると、友田被告は独身で、病院から車で15分ほどの借家に1人で暮らしていた。家には風呂もあるが、ガス代と水道代をケチり、公園で水浴びすることもあったという。「他の病院にも行った」とも供述しており、府警では常習の可能性もあるとみて調べている。また同被告は、供述調書に米在住の実弟の名前を偽って記入。逮捕後も悪あがきを続けていたが、湯ざめしたのか、今ではすっかり反省している様子という。

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