温泉好き高じてマイ銭湯をオープン 安岐町

大分合同新聞社 [2013年08月21日 10:13]

 国東市安岐町に住む温泉好きの梛野(なぎの)悦子さん(70)が自宅の一部を改築し、海水を使った銭湯「塩湯」をオープンした。近所のお年寄りが集う場所をつくりたいと、10年越しの夢を実現。1日の利用客は平均7、8人程度だが、「素人経営だから、ちょうどいいわ」。夫や息子の協力を得て、楽しそうに経営している。

 銭湯の名は「集いの潮湯 100馬力」。安岐港を見下ろす高台にあり、港からくみ上げた海水を浄化して使う。男湯、女湯とも、温浴風呂と「水風呂」の二つの浴槽がある。温かい方の風呂は熱湯と混ぜる仕組みだが、冷たい方は海水そのもの。訪れた客は物珍しさに「しょっぱいなあ」などと言って楽しんでいる。
 浴室、浴槽ともコンパクト。「1日過ごしてほしい」と休憩室には卓球台や将棋セットなどがそろい、アットホームな雰囲気が漂う。サービスでニナのおつまみなどが出てくることも。
 梛野さんは60歳のころから、「好きな銭湯をほそぼそ経営し、近所の人や自分が年老いても楽しく過ごせれば」と考えるようになった。月数万円ずつ積み立ててきたが、母親の看病などで時機を逸し、あきらめかけていた。
 転機は昨冬。島根県に住む友人から「近所の80代が自宅の銭湯を無料開放し、にぎわっている」と聞いた。「それならば、私もあと10年はやれる」。長年、研究してきた成果を発揮し、滑りにくい床材などにこだわった“マイ銭湯”を完成させた。
 県によると、県内での塩湯は中津市、佐伯市で2店舗が営業するだけ。国東市内には以前に塩湯があったが途絶え、久々の復活。懐かしそうに訪れる客の姿もあるという。
 火曜日定休。営業は午前11時から午後9時。利用料は中学生以上が500円、小学生以下が300円。割引のつく回数券などもある。問い合わせは同銭湯(TEL0978-67-0297)。

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