燃料高でかさむ経費 温泉施設が営業時間縮め節約(和歌山)

1月28日17時16分配信 紀伊民報

 紀南の温泉施設で、経費削減のため、営業時間を短くする試みが目立っている。燃料費の高騰に対処し、人件費や照明などの光熱費の負担を少なくするためという。
 田辺市秋津町の温泉浴場「弁慶のさと湯」は16日から、深夜2時までの営業を2時間繰り上げて午前0時までにした。
 同施設では浴槽の湯沸かしと保温をプロパンガスでしているほか、シャワーなどの給湯は、まきを使ってガス代を抑えている。それでも経費が掛かるため、客入りの少ない深夜の営業時間で短縮を決めたという。
 全浴槽計約30トンを1時間保温するには、冬場にはガス約5立方メートルが必要で、2時間の短縮で10立方メートルが節約できる。さらに人件費や照明などの光熱費の削減にもつながる。
 値上げを踏みとどまったのは地元の常連が多いという側面も大きい。従業員の塚田陽一さん(43)は「温泉は衣食住以外のレジャーで、不景気には最も切りつめられやすい産業。客離れを考えると、値段には転嫁させられない」と話す。
 同市龍神村丹生ノ川の「丹生ヤマセミの郷・温泉館」も昨年11月から今年3月までの期間、午前10時~午後8時の営業時間を正午~午後6時にしている。大幅な短縮は今回が初めてだが、冬場の利用者減少に燃料価格の上昇が追い打ちを掛けたためという。
 同施設は地元丹生ノ川区が委託を受け運営している。古屋鈴木支配人(77)は「季節的に利用者が減り、営業しても不経済な状態であるため」と、春までの一時休館も検討している状況と話す。
 燃料費など営業経費の上昇を受け、県は2月から銭湯など一般公衆浴場の大人の入浴料金の上限額を30円引き上げ420円に改定する。改定は2006年4月以来。
 公衆浴場を4施設運営する白浜町では、昨年の原油高騰により12月補正予算で燃料費を追加して対応した。同町の公衆浴場の大人料金は300円。12歳未満の料金とのバランスを考え、当面値上げは予定していないという。町観光課は「利用者にも、シャワーの使い方などの注意を呼び掛けるなど、現場でもなるべく経費削減に努めている」と話している。

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