京の旅館“一見さん”参入 異業種から、業界「いい刺激」

6月12日9時19分配信 京都新聞

 京都市内の旅館業界に異業種からの新規参入が相次いでいる。和雑貨業者が祇園地区に1泊最高22万円の高級旅館を開業する一方、元精密機器メーカー経営者らが外国人向けに低価格の町家旅館を開いた。京の旅館は団体客の減少や景気低迷で厳しい状況にあるが、多彩な試みが業界活性化につながりそうだ。
 京都府旅館生活衛生同業組合(中京区)の組合員数はピーク時の1950年代に1000軒を超えたが、ホテルの増加や修学旅行など団体客減少などから現在は380軒に減っている。
 こうした中、和雑貨製造販売のくろちく(中京区)は4月、東山区四条通花見小路東入ルの旧京都クラフトセンター内に宿泊施設「KIZASHI THE SUITE」を新設した。
 8室すべてスイート仕様で、ゆったりとした40~100平方メートルの部屋にヒノキ風呂も備えた。1泊料金は1室6万8000円~22万円で、和室を中心としつつベッドも用意しており、「富裕層を中心に利用が広がってきた」と手応えを示す。
 東本願寺に近い下京区油小路通花屋町下ルに3月上旬オープンした「京町家旅館さくら」は、精密金型メーカーを経営していた小西知宏さん(43)が仲間4人で開業した。「京都には少ない安価で使いやすいクラスの旅館を目指した」と話す。
 町家を改装した3階建て20室で、1室は約10平方メートル。1泊朝食付きで1人7000円台という手ごろな価格と町家の雰囲気が欧米を中心とする外国人客に評判で、春の観光シーズンは連日ほぼ満室だったという。
 他業種からの参入について、府旅館生活衛生同業組合の北原茂樹副理事長は「世襲が多いこの業界にとってはいい刺激になる」と話している。

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