<睡眠文化研究>睡眠の文化研究って? 地域性、習慣に着目の新学問

7月6日11時39分配信 毎日新聞

 ◇「専門的だが身近」関心高く

 人生の3分の1を人は寝て過ごす。不眠症などの悩みは深く、生理学的な研究は進むが、知られていないことも多い。睡眠を文化や生活習慣と関連づけて考える新たな学問「睡眠文化研究」が生まれ、関心を集めている。【柴田真理子】

 金曜日の夕方の立教大学(東京都)キャンパス。全学共通カリキュラムで今年度から始まった「睡眠の文化を考える」で、豊田由貴夫教授(文化人類学)が各国の「眠り」についてのスライドを見せた。ハンモックで寝る南米、裸で毛皮をまとうイヌイット、床にござを敷くパプアニューギニア……。豊田教授は「例えば食の分野では、以前は生理学や栄養学の研究が多かったが、今は地域的な違いや習慣を考える食文化研究がある。睡眠も文化としてとらえていきたい」と語る。

 「子どもの眠り」をテーマにした講義では、同大コミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科の石渡貴之博士が講師を務めた。石渡博士は幼児の生活習慣に関する調査を踏まえ「男子よりも女子の方が遅寝の傾向がみられた。昼間の遊び方の違いが影響している」「都会と農村で大きな差はなかった」などと紹介。眠りに入る前には体温が下がり、その幅が大きいほど深い睡眠になるとして「昼間の運動は夜の体温低下が大きくなるので睡眠に効果的だが、寝る直前の激しい運動は逆効果。お風呂も同じ」と話した。

 学生たちは次々と手を挙げ「寝ると体温が下がるのになぜ寝汗をかくのか」「冬山で遭難して寝ると本当に死ぬのか」などと質問した。文学部1年の斉藤優衣さん(19)は「睡眠は毎日のことだし、早寝早起きの人の方が成績もいいと聞いていて興味があった。教員志望なので、子どもの睡眠と生活の関係を知りたい」。観光学部1年、島村美智さん(56)は「地域や時代ごとの睡眠の違いなどを聞き、多面的に睡眠を考えられるようになった」と話す。

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 京都大学も4月から「睡眠文化論」を開講した。担当する重田眞義准教授は「8割以上の学生が常に授業に来る。睡眠行動という日常性に、研究という専門性が重なり、関心を持ちやすいのだろう」と話す。

 睡眠文化研究では、文部科学省も科学研究費を補助している。重田准教授によると、ヨーロッパで社会学者を中心とした研究グループができるなど、国際的にも注目されてきた。一端に触れたい人には「睡眠文化を学ぶ人のために」(世界思想社)がお勧めだ。眠りを深く意識すると、人生の3分の1が豊かになるかもしれない。

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