寒い冬に熱かんで美肌効果-。名古屋市立大の岡嶋研二教授(展開医科学)らの研究グループが、日本酒の美肌効果のメカニズムを解明した。肌に塗っても、そのまま飲んでも良いといい、風呂に入れるなど美肌効果は知られているが、科学的にも立証した形だ。
着目したのは、日本酒を造る過程で、米こうじと酵母菌によって作られる糖アルコールの一種「α-グルコシルグリセロール」(αGG)。研究グループはマウスの知覚神経細胞を培養し、αGGを加えると、伝達物質が放出されることを確認した。
次に、マウスの肌に塗ると、その伝達物質を介し、細胞の再生や血流増加、汗腺の活性化効果などを促す「インスリン様成長因子-1(ローマ数字の1)」(IGF-1)が増加することを突き止めた。αGGの濃度を0・005、0・01、0・05、0・1%-と変えて実験すると、0・01%の溶液が最も皮膚のIGF-1を増やすことが分かった。皮膚のコラーゲン量も1・2倍になった。
さらに、20代から40代の女性で実験。13人にαGG溶液を2週間肌に付けてもらい、専用機器で肌の弾力を比べると12人が向上。「肌がしっとりした」と好評だった。美肌効果に適量のαGGが関係していることが分かり、美容への応用の幅が広がるという。
岡嶋教授は「日本酒のαGG含有量は約0・5%。肌に塗る場合は50倍に薄めるといいだろう。飲んでも効果があり熱でも壊れない」と話す。