落語家の桂歌丸さんの弟子で、横浜市南区在住の桂枝太郎さん(32)が昨年5月の真打ち昇進後、横浜では初となる独演会を30日、横浜市中区野毛町の横浜にぎわい座で行う。地元での晴れの高座を前に、「今回は冒険をするつもり」と意欲的だ。
31歳の若さで落語界の最高位、真打ちにスピード昇進を果たしたが、「体ができていないうちに、ポンと投げ出された感じだった」と振り返る。結果は出して当たり前という厳しい視線を感じた。
本来は自ら創作する新作落語を好み、得意でもあった。だが、かつては年に10本以上つくっていた新作が、昇進後の1年は1本だけ。「下手な芸はできないし、冒険ができなくなった。眠れない時もあり、いろいろと悩んだ1年だった」。「師匠」としての責任と重圧に苦しんだ。
岩手県出身。高校卒業後、歌丸さんに師事するため、師匠の住む横浜市南区に移り住んだ。「当時はイセザキモールで『ゆず』が歌っていた。4、5人しかいなかったお客さんがどんどん増えて、ついにメジャーデビューした姿を見て、夢はかなうものだと思った」。4畳一間、風呂なしの下積み時代を経て、ここまで駆け上がってきた。
「夢は100年後の古典落語になるような、自分の作品を残すこと」。地元での独演会では、新作の「大ネタ」に挑戦する。「今回は三振を恐れず、ホームランを狙っていきます」と鼻息が荒い。
独演会「枝太郎これくしょん」は30日午後7時から。入場料は前売り1800円、当日2千円。問い合わせは横浜にぎわい座電話045(231)2515。