山中漆器の専門店「喜八工房」、金沢の茶屋街に週末限定オープン

11月28日18時15分配信 金沢経済新聞

 山中漆器の「喜八工房」(金沢市東山1、TEL 0761-78-0048)が10月12日、ひがし茶屋街に山中漆器専門店を土日限定でオープンした。漆器製造業「酢谷」(加賀市山中温泉塚谷)の独自ブランド「喜八」の商品を販売し観光客にも好評だ。

 同店は茶屋街の中心地にある築180年の町家を利用し、同社6代目の酢谷喜輝さんがデザインから製造までプロデュースした漆器を自ら説明しながら販売する店内には、伝統的な漆器から現代風の洗練されたデザインまで約100点が並ぶ。

 在庫過多や、塗りムラがあるアウトレット品(茶托5枚組8,000円、盆3,000円など)も販売。価格が通常の2分の1から3分の1であるため、客の中には「こんな上質の漆器がこの値段で買えるのはうれしい」と数点をまとめ買いしていく人の姿も見られる。酢谷さんは直接山中漆器の楽しみ方をアドバイスしながら、実際に手に取って感触を確かめることを勧めている。

 同工房は、上塗師の2代目・喜八さんが1882年に産地の製造卸「喜八工房」として創業した山中漆器で一番の老舗。一流の技術を持つ木地師、下地師、塗師、蒔絵士などの職人を擁し、材料は国産にこだわる。特に轆轤(ろくろ)で挽き上げる円形の漆器に関しては、常に業界の先端を行くといい、デザインコンセプトは「守」(山中で一番古い老舗、喜八工房の伝統を守る)、「破」(伝統を破りつつも謙虚な心で思索する)、「離」(漆器を離れ、漆器を忘れず、奔放に思い描く)という。

 「高級品から日用雑器まで『見てよし、使ってよし』の幅広い商品のラインアップを心がけている。『たくさんの人に使ってもらえるものづくり』が使命」と話す酢谷さん。「漆器をより多くの人に日々の生活の中で取り入れてほしい。使い込むなかで傷みや変化も楽しんで自分だけの漆器に育て、可能な限り塗り直しや修理をして一生ものとして使ってほしい」とも。

 営業時間は9~18時(土曜・日曜のみ営業)。 

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