道東の美幌町で、1軒だけとなった銭湯。
54年間営業を続けてきた、マチの銭湯が最後の日を迎えました。
美幌町の辻村(つじむら・)和子(かずこ)さんが、夫の孝(たかし)さんと二人三脚で経営してきた銭湯、仲乃湯(なかのゆ)。
燃料代の値上がりや施設の老朽化などから廃業を決め、この日が最後の営業となりました。
最後の日を無料と決めたのは、54年前に開業した父親への思いです。
番台には、馴染み客や近所の人から送られたたくさんの花。
「最後の一軒になるまで続けてほしい」という父の言葉通り、和子さんは、マチで唯一の「のれん」を守り続けてきました。
夫の孝さんが初めて渡すという、ねぎらいの花束。
孫の将成(まさなり)くんからは、感謝状も贈られました。
マチに残った、ただひとつ銭湯。
その灯りが消えても、人情あふれるぬくもりと湯けむりの記憶は、街の人たちにいつまでも生き続けます。
[3日13時10分更新]