足柄茶:急須使わない「すすり茶」いかが 県・JAがPR、消費拡大へ /神奈川

12月10日13時2分配信 毎日新聞

 ◇ふたで閉じ込め香りとうまみ味わう--新しい飲み方
 山北町を中心に生産されている「足柄茶」の新しい飲み方として、高級茶葉を使った「すすり茶」のPRに、県やJAが力を入れている。ペットボトルに押され、急須を使った茶葉の消費量が減少している中での消費拡大策。観光客らに尋ねたモニター調査では「話題性があって、楽しんでもらっている」といい、評判は上々のようだ。【澤晴夫、写真も】
 すすり茶は中国から伝わった飲み方。茶器に直接、茶葉を入れ、低温の湯を少量注ぎ、ふたで閉じ込めた香りとうまみを味わう。1回目は40度のお湯で2分間置いて、ふたを少しずらして飲む。2回目は50度ほどのお湯に1分程度、さらに3回目は湯差しに残ったお湯を注いで飲むが、それぞれにお茶の甘みや、うまみを味わい、最後はせん茶のイメージで楽しむことができるのが特徴だ。
 茶葉は、品評会にも出品された3グラム200円の最高級の足柄茶を使う。新芽の柔らかいところを摘んでいるので、飲み終わった後には、しょうゆや酢を入れ、おひたしのように食べることもでき話題を集めている。
 町内の中川温泉では旅館などが協力し、宿泊・観光客にモニター調査を兼ねてPR。喫茶店「一茶」の湯川雅美さんは「若い女性が『なんで、こんなにお茶が甘いの』と言ったり、週4回も飲みにくる客もある」と話す。最初はタイマーを置いて飲み方を説明するが、2回目以降は、自分のペースでゆっくりとお茶を楽しむという。
 すすり茶消費拡大を支援する事業を進める足柄上地域県政総合センター地域農政推進課の堀越香代子副技幹は「抹茶より堅苦しくなく、休日にゆったりしたいという時に飲んでもらえれば。いずれはコーヒーや紅茶のように注文して飲むようなものにしたい」と話す。
 県農協茶業センター(山北町川西)業務部によると、全国の緑茶1人当たりの購入量は65年の2133グラムから07年は1038グラムと減少の一途をたどっているという。日本茶インストラクターの資格を持つ石渡哲也部長は「ペットボトルのお茶の方がおいしいという高校生もいる」と危機感を募らせ「お茶の文化、おいしさを再認識してもらう方法として、すすり茶が広まってくれれば」と期待を寄せている。

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