12月16日21時0分配信 カナロコ
公共交通空白地域解消などのため、秦野市がコミュニティタクシーの実証(試験)運行を開始してから一カ月がたった。まだ知名度は低く、客足も少ないが、市は「少しずつ増えてきている。どちらかというと順調ではないか」と今後に期待を寄せる。
コミュニティタクシーの実証運行は国の「地域公共交通活性化・再生総合事業計画」認定事業として、国の半額補助で十月三十日から始まった。十人乗り(客席は九人)ワゴン車で、小田急線渋沢駅を起点とする四ルートと、東海大学前駅~鶴巻温泉駅間の一ルートを走る。運賃はルートによって異なるが百五十円と二百五十円。
先月末までの一カ月間の平均乗客数を見ると、渋沢駅を起点としたルートでは、一便平均二人以下と少なめ。しかし最初の一週間で〇・五人だったのが一・二人になる便もあるなど、おおむね数字は上がっており、市も「これからではないか」と話す。秦野赤十字病院へ行く便に限ると、二・五人だった週もある。
東海大学前駅~鶴巻温泉駅間のルートでは、おおね台などの高台へ行くコースのため、最初の週から平均二人を超えており、十一月の最終週では、東海大学前駅発の便が三・一人となっている。市が当初予想した平均四人を下回ったものの、利用は増加傾向にあり「まずまずです」と、こちらは胸をなで下ろす。
乗客にはおおむね好評で、「続けてほしい」などの声が聞かれるという。ただ、「土・日曜も運行を」「もっと早い時間や遅い時間も」などといった声もあり、市は「住民の生活スタイルに合った見直しが必要」と分析している。
運行開始直前の会見で古谷義幸市長が「当分は歯を食いしばって頑張りたい」と言ったように、市は国の補助が切れる来年四月以降も継続する方針。ルートや運行時間などの見直しやPRを行い、現行運賃で採算ベース近くになる一便平均六人弱の乗客数を目指す。