山口発・活路をもとめて:/5止 お茶に託す地域活性化 /山口

1月6日15時1分配信 毎日新聞

 ◆とくぢ健康茶企業組合=山口市徳地
 ◇新たな特産品へ高齢者奮起
 「まず1杯、飲んでみてください」。山口市徳地にある「とくぢ健康茶企業組合」理事長の重本正樹さん(71)の自宅で、秋に収穫したばかりという琥珀(こはく)色の茶を勧められた。
 苦みを覚悟しながら一口飲むと、香ばしさとコクが口全体に広がった。重本さんは「徳地の健康茶はとてもまろやかな味わいなんです」と自信に満ちた笑顔をみせた。
 人口約7500人の徳地地域は、山林が約9割を占める中山間地域。高齢化が進み、農業の後継者不足が悩みだ。そんな中、「休耕田を利用し、新たな特産品を作れないか」と目をつけたのが、マメ科の1年草「カワラケツメイ」。元々、全国各地の河原などに自生。かつて徳地地域では100軒を超す農家が主に自家用として育てていたが、ここ数年は10軒以下に減っていた。
 折からの健康ブーム。「栽培負担が少なく、収穫期間の短さも高齢者が多い徳地地域にぴったり」。重本さんら住民有志は一昨年11月、企業組合を設立した。
 昨年は企業組合の呼びかけに応じた33軒の農家が約2・4トンを収穫。乾燥、焙煎(ばいせん)し、地域の特産品売り場や同市湯田温泉の土産物売り場などで好評を博している。心掛けているのは、「安心・安全」なブランド作り。「カワラケツメイのお茶は全国各地にある。差別化するため、無農薬で化学肥料も使わない有機栽培を徹底した」
 原動力は、会社を退職したり、子育てを終えた地域出身の中高年世代だ。理事の松田圓子さん(70)は化粧品販売をして5人の子どもを育てる傍ら、有機農業の勉強を続けた。初めての栽培だったが「驚くほど収穫できた」と笑顔を見せる。営業担当の専務理事、原健太郎さん(65)も東京の大手企業に勤めていたが定年を機に約5年前、Uターン。「生まれ育った徳地の歴史や自然を全国に伝えたい」と販路の拡大に努めている。
 昨年8月には畑で、環境省から絶滅危惧(きぐ)種に指定されているツマグロキチョウを確認。今後は貴重なチョウを「看板」に、健康茶の知名度アップを図る。「栽培に協力してくれる生産者を増やし、活気あふれる地域にしたい」と重本さん。
 夢はさらに膨らんでゆく。【大村健一】=おわり
〔山口版〕

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA