一戸建て580万円の衝撃価格 不況が追い風人気集める

1月21日19時35分配信 J-CASTニュース

一戸建てが衝撃価格で登場

 東京都内でも一戸建てが580万円でできます。こんなローコスト住宅が登場して話題になっている。地方では、525万円という住宅も登場。不況も追い風になっているようだが、こんなに安くて大丈夫なのか。

■「無駄のないコンパクトな作り」

 東京・西東京市にある住宅展示場。そのモデルハウスの一つ、2階建て住宅の玄関上に大きな看板がかかっている。

 「本体工事価格 580万円」

 間取りは1LDK、延べ床面積57.3平方メートルと狭いが、500万円台というのは異例だ。一般の注文住宅に比べれば、半額ほどにもなる。このローコスト住宅は、アーネストワン(西東京市)が、2008年11月25日から東京を含めて全国各地で売り出した。どうしてこんなに安くなるのか。

 同社の住宅企画課長は、こう説明する。

  「まず広告宣伝費を使っていないことが挙げられます。また、プランが決まっていて間取りが変えられないため、資材を安く調達することができます。図面を1からおこすこともありません。廊下を最小限に抑えるなど、無駄のないコンパクトな作りにしていることもあります」

 以前は、建売住宅が中心だった。が、土地を持っている客から「建物だけやってほしい」と要望されたため、建て替えや土地のある人向けに08年春に開発した。不況に合わせたわけではないが、「最終的にマッチングしました」と課長。1日20~30件もの問い合わせがあり、子どものいない夫婦や独身者、借家オーナーなどが多いという。

 不況下では、こうしたローコスト住宅の需要は増えてきているようだ。

 熊本市のヒラキハウジングでは、ホームページ上で、九州の一部地域で新築一戸建て(平屋、3DK)延べ床面積57.34平方メートルを建物だけ525万円で売り出している。宮崎市のフランチャイズ店では、「住宅購入をあきらめるにはまだ早い」などとサイト上でPRしていた。

■「心理的な耐用年数は短い」との指摘も

 もっとも、ネット上では、ローコスト住宅に対して、不安視する書き込みは多い。耐用年数や耐震性はどのくらいか、間取りの狭さ、建築工事への不安といった点だ。

 こうした品質上の懸念に対し、前出のアーネストワン住宅企画課長は、こう理解を求める。

  「耐用年数は明らかにできませんが、短いということはありません。耐震性は、業界の基準で3等級のうち最高の3を取っています。間取りでは、圧迫感がないように、吹き抜けにしたり、キッチンの上の吊り戸棚をなくしたりしています」

 専門家は、ローコスト住宅をどうみるのか。

 建築家の佐川旭さんは、580万円の住宅について、「坪単価が33万円なので、このくらいならできないことはないでしょうね」としたうえで、そのカラクリをこう話す。

  「メーカーから既製品の風呂やトイレ、キッチンなどを大量に買うと、3、4割引のところが半値ぐらいで入ってきます。大工さんにも継続して仕事を出せるので、手間がかからず日給も安くできます。初めて買う人は、家を持てた喜びから要望が少ないので、買いやすいでしょうね」

 ただ、耐用年数や耐震性はクリアされても、長い目で見ればデメリットがあるという。

  「壁はビニールクロス、床は合板という住宅が多いようです。今人気がある土壁や木目調の内装にもできず、1年ごとに輝きを増すうるおい感は乏しいでしょう。飽きが早く来てしまい、心理的な耐用年数は短いはずです。ローコストの中に、いかにプラスアルファの要素を加えられるかが人気を保つカギと言えます」

 建築工事への不安については、佐川さんは、「5回で15~20万円ぐらいかかりますが、設計事務所や調査会社などの第3者に施工をみてもらうといいと思います」とアドバイスしている。

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