3月13日12時2分配信 毎日新聞
矢祭町の温泉宿泊施設「ユーパル矢祭」を運営する財団法人「矢祭振興公社」(理事長・古張允町長)が07、08年度の2カ年度にわたって基本財産を取り崩し、流用していたことが12日分かった。所管する県知事の承認を得ていなかったという。
同日開かれた町議会一般質問で、古張町長が明らかにした。
町などによると、同公社の基本財産は2500万円で、町が全額を出資。公社は07、08年度とも、数百万円ずつ数回に分けて取り崩し、仕入れ代金や職員給与などに充てていた。07年度は年度末に取り崩した分を返還したが、08年度は結婚式などの施設利用が予想を下回り、返還できなくなったという。
同公社職員の「ユーパル矢祭」支配人は取材に対し、「基本財産の残額が現在いくらか分からない。流用は当時の理事長の決裁を得て行い、運転資金に回した。運営が厳しく、背に腹は代えられなかった。知事の承認が必要なことは分かっていた」と説明している。
同公社は運営難のため、職員給与の一部支給が遅れているほか、出入り業者への未払い金も生じているという。町は、基本財産の全額補てんや未払い金の解消などに充てる補助金4000万円を、今年度の補正予算案に計上している。
同公社を所管する県は、基本財産の取り崩しについて「公益法人の県規則に違反している可能性がある。事実を調査し、必要なら指導する」としている。【和泉清充】