4月24日12時14分配信 中日新聞
大桑村の第3セクターが運営する日帰り温泉「恋路の湯」(同村野尻)が29日にリニューアルオープンする。赤字脱却へ向け、多額の公費を投じて利用料の値下げや施設改修を断行し、迎える正念場の観光シーズン。地元では国道19号の「道の駅」などを拠点に“村一丸の口(くち)コミ作戦”で施設を宣伝するアイデアも温めている。
恋路の湯は宿泊・温泉施設「フォレスパ木曽」にある。黒字の宿泊部門に対し、恋路の湯は利用が低迷し、年間3000万円(2007年度)の赤字を計上。昨年度から村がてこ入れを開始した。現在、露天風呂などを改修中。料金を従来の800円から500円に値下げして営業を再開する。
施設側は「村民の健康増進拠点に」とする村の方針に沿って、値下げ効果を生かして地元住民の利用を増やす考え。一方で、国道19号を行き交う遠方からの客を呼び込めるかどうかも課題。施設は中央アルプスを一望する景色が自慢ながら、間に木曽川をはさんでおり、国道からは目に付きにくい場所にある。
運営会社の半坂純孝社長は「(村内の19号沿いにある)道の駅大桑から誘引できる客は多いと思う。大きな看板の設置を村にお願いしている」と言う。
運営会社の役員でもある貴舟豊村長は「宣伝に多額の費用は使えない。道の駅の店で働く住民の皆さんに『こんな施設もあるんですよ、いかがですか』と声をかけてもらうようにしたい」とのアイデアを披露。「(税金を使っている)『私たちの施設』という意識を持っていただき、村民挙げて親類や、交流している木曽川下流域の人たちに宣伝してもらえるような取り組みをしていきたい」と話している。 (森木幹哉)