現場発:宮崎刑務所が内部公開 裁判員裁判に合わせ「受刑者の生活を知って」 /宮崎

6月6日16時1分配信 毎日新聞

 裁判員制度が始まった。あなたも裁判員として被告人に実刑を言い渡す日が来るかもしれない。その際「被告人を何年の刑に処すのか(または刑を猶予するか)」という量刑判断も求められる。受刑者の生活を知ることはその判断材料ともなる。このほど宮崎刑務所内(宮崎市糸原)が報道陣に公開された。内部をリポートする。【小原擁】
 ■敷地は東京ドーム2個強
 まず高さ約5メートルのコンクリート壁に圧倒される。所内をぐるりと囲む壁は、まさに世間と隔絶した世界を作り出している。壁の頂上部には、有刺鉄線が張られ、センサー反応のための軽電流を流している。
 壁の向こうには、グラウンドが広がっていた。記者が訪ねた時刻はちょうど休憩時で、受刑者の中には走ったり、腕立て伏せをしたりする者もいた。また、固まって談笑する姿もあった。
 グラウンド奥にはブルーの屋根の作業棟が4棟。宿泊棟、講堂などもある。敷地は、東京ドーム2個分よりも広い約9万9000平方メートルある。
 ■現在461人を収容
 刑期10年未満、26歳以上の男性受刑者を収容している。犯罪歴2回以上という者がほとんどで、3月末現在で461人が収容されている。約3割が暴力団関係者。犯罪別では、窃盗などの財産犯罪50%▽薬物犯罪25%▽放火を含む粗暴犯罪8%--となっており、約6割を県出身者が占める。
 入所前に、面接と心理検査がある。心理検査では、知能・性格・適性をみる。犯罪性や職業適性とともに、将来の志望などが考慮され、作業などの「処遇指標」が決まる。
 作業は(1)生産作業(洋裁、木工など)(2)農業園芸科職業訓練(野菜作り、所内の造園など)(3)自営作業(炊事、洗濯、清掃など)の3つに分かれる。
 ■刑務所の一日
 寝泊まりは畳敷きの約11畳に7人。1人当たりの占有面積は約1・5畳。息苦しい。トイレは各室にある。規範を守らない者は単独室(約2・5畳)に入る。
 起床は午前6時45分。朝食は7時5分から室内で食べる。訪ねた日の朝食メニューは、六穀米▽みそ汁▽乳酸菌飲料だった。
 作業は7時50分から始まり、刑務官監視の下、各班(約30人)が持ち場に移動する。9時45分に休憩(30分間)があり、11時50分に作業場2階で昼食。メニューは、麦飯▽魚のすり身入りのそば▽シシャモ2匹▽漬物だった。食事は1日1200~1600キロカロリーが目安で、正月は雑煮、5月1日にはかしわ餅なども出る。
 午後は、休憩を1回挟んで作業終了が4時半。夕食は5時から。夕食前後に風呂の時間(15分間)を設けており、毎日、班ごとに入る。使用できる湯量は風呂おけ12杯が目安だという。5時半からは余暇の時間。各室内にあるテレビを見たり、本や雑誌などを読んで過ごし、消灯は9時。室内には小さな扇風機があるが、夏は蒸し暑い。暖房はない。
 土日祝日の作業は休み(盆3日間、正月12月28日~1月3日も同様)。工賃(報奨金)は月平均3000円。釈放後に支給されるが、服役中でも本を買うなどの出費は認められる。医者は1人が常駐し、非常勤が2人(精神科、歯科医)。
 また、面会(午前8時半~午後5時)は親族、利害関係者に限られ、15分程度。差し入れについては本、雑誌、文具、衣類(下着)などは認められるが、たばこや食べ物は不可。
 ■一般参観も
 宮崎刑務所は「裁判員制度のスタートに伴い、受刑者の生活を正確に知ってほしい」と市民の参観を募集している。70人程度で、誰でも応募可能(応募多数の場合は抽選)。参観は7月22日(午前10時から)で、案内ビデオを見た後、施設を見学する2時間のコース(受刑者の作業している姿は見られない)。
 法務省矯正局の指導により、全国60余りの刑務所でもこうした動きがある。同所の下西悦子総務部長は「裁判員制度が始まったのに受刑者の処遇や、受刑者が法律でどう守られているかなどについて理解している人は少ない。受刑者の暮らしぶりなどを詳しく知ってほしい」と話す。
 参観希望者は、往復はがきに「募集参観希望」と書き、住所、氏名、年齢、職業を明記し「880-2293 同市糸原4623 宮崎刑務所」に送る。7月1日必着。問い合わせは0985・41・1121。

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