11月21日8時5分配信 フジサンケイ ビジネスアイ
積水ハウスは、オール電化仕様の賃貸アパート事業に乗り出した。東京電力と共同で、自社の賃貸住宅「シャーメゾン」向けパッケージを開発。首都圏で販売活動を開始した。
キッチン部の掃除のしやすさなどを武器に、オール電化住宅は戸建てとマンションで急速に普及しているが、アパートで本格的に展開するのは同社が初めてとなる。
オール電化住宅では、電気温水器を設置。夜間の割安な電気を使い、電気ヒーターで沸かしてためておいたお湯を風呂や台所などで利用する。常に一定量のお湯が蓄えられている。
戸建てやマンションの場合、住戸の外部に電気温水器を設置できる。一方、都心部のアパートは土地の有効活用を図るため、外廊下タイプが一般的。廊下は狭く、機器を置くスペースが十分に確保されていない。このため、オール電化仕様アパートの商品化は難しかった。
積水ハウスは東京電力と共同で、高度な防水処理などを施すことによって、温水器を住戸内の玄関の横側に設置できるノウハウを確立。温熱環境にも問題がなく安全性も確保できたことからパッケージ化した。
IH(電磁誘導加熱)クッキングヒーターと次世代給湯システム「エコキュート」や電気温水器で構成され、冷暖房も含めすべてを電気でまかなう。
積水ハウスは「フェモアライフ」シャーメゾンとして展開する。
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【予報図】
■オーナーに安心感、普及後押し
オール電化住宅の最大の売り物は、IHクッキングヒーターの手入れが楽な点だ。汚れてもさっとひとふきで済み、火を使わないため燃焼による水蒸気が発生せず、汚れの元となる油煙も広がりにくい。
こうした特性を生かし、オール電化仕様のアパートでは部屋の真ん中にキッチンを配置した、オープン型キッチンなども実現できるようになり、差別化という側面でも有利に働く。また、コンロを使用しないため火災のリスクも大幅に減少。都心部の賃貸アパートは1人暮らし向けが主流だけに、オーナーの安心感も高まる。
オール電化住宅の普及は加速しており、市場調査会社の富士経済によると2008年度の普及戸数は前年度比22.6%増の332万6000戸になる見通し。15年度は800万戸を超えるとみている。オール電化アパートが今後普及していけば、伸び率がさらに高まる可能性も出てきた。(伊藤俊祐)