11月27日11時15分配信 J-CASTニュース
毎朝、目覚まし時計が鳴る前に目が覚める。結構なことのようだが、本当は危ない症状なのだ。「過緊張」といい、それが疲れの原因になっているというのだ。働き盛りに見られる不眠、肩こり、体のだるさ、ほてり、女性に多い冷え症もそうだ。病気とまではいえないが、ほっておくとよくない。
■几帳面、まじめ、頑張りすぎが「過緊張」を引き起こす
「過緊張」とは、心や体の緊張が進んでしまい、ゆるめたくても自分ではゆるめられない状態をいう。病気というほどではないが健康でもない、いわゆる「未病」を引き起こす「元凶」ともいえる。
たとえば、毎朝、目覚まし時計が鳴る前に目が覚める。体内時計が朝起きる時間を覚えているなどと自慢げに話す人がいるが、そんなことを言っている場合ではない。仕事へ出かけなければならないという緊張状態からくる一種の症状で、ストレスが溜まっていく前ぶれなのだ。
眠りが浅く夜中に何度も目が覚める、トイレに起きる。暑くもないのに汗をかいたり、あまり気づかないが喉や胸につかえを感じて呼吸が浅くなったりする。寝起きなのに肩が凝り固まっている。こうした症状も、過緊張が原因とされる。
何事にも一生懸命で几帳面、まじめ、頑張りすぎる人に多い。たとえば、緊張をほぐすために「運動をしなさい」というと、それがかえってプレッシャーになってしまう人は、自分の知らないうちに「未病」に陥るタイプだ。
■就寝前のお風呂、音楽を聞くこと、薬酒を飲むことでリラックス
覚醒作用のある交感神経のリズムが夜になっても乱れたままで、リラックスするためのスイッチである副交感神経に切り替わらないことで起こる。結果として興奮状態が続いて、その日の疲れがとれないわけだ。そういう意味では「過緊張は万病のもと」なのだ。
過緊張に詳しく、冷え症などの治療を専門とする目黒西口クリニックの南雲久美子院長は、「過緊張は、女性の場合は冷え症や肩こりに表れたりするが、男性は体が丈夫な分、なかなか症状に表れてこない。仕事、生活の悩みが影響して、男性も女性も知らず知らずのうちに過緊張に陥りやすくなっているので、就寝前になにかリラックスできることを取り入れたほうがいい」とアドバイスする。
ゆっくりと風呂に入って体を温める、風呂あがりに軽い体操やヨガをする、ゴロ寝しながら好きな音楽を聴く、静かに読書を楽しむ、マッサージをする…。その日の疲れは、その日のうちにとることを院長は薦める。
南雲院長は、「薬酒を飲むこともリラックス効果がある」という。血行をよくして体調を整える効果があるとされる生薬(漢方)は、「女性の冷え症に効くといわれるが、じつは男性にも効果がある」と話す。
市販されている漢方薬では、イライラを解消するのに効く「柴胡加竜骨蠣蛎湯」(サイコカリュウコツボレイトウ)や、とくに男性には滋養強壮作用のある「八味地黄丸」(ハチミヂオウガン)、体に元気をつける「補中益気湯」(ホチュウエッキトウ)などが疲労回復に効く。
生薬は一つひとつよりも、2つ以上を組み合わせて服用したほうが効果的だそうで、杜仲(トチュウ)、芍薬(シャクヤク)、人参(ニンジン)、丁子(チョウシ)、ウコン、桂皮(ケイヒ)などの生薬が配合されている養命酒も体を温めるなどの効能をもたらすそうだ。
過緊張は、最近はパソコンに向かう機会が多い人にありがちなデジタル・ストレスの症状としても表れるという。30歳すぎの働き盛りは、その人にあった方法で体の緊張をゆるめる工夫が必要だ。