12月1日8時2分配信 スポーツ報知
◆男子プロゴルフツアー カシオ・ワールドオープン最終日(30日・高知県Kochi黒潮CC=7300ヤード、パー72) 小田孔明(30)=フリー=が、苦節9年目でツアー初Vを飾った。2バーディー、2ボギーの72で通算11アンダーとし、4日間首位を守る完全優勝。日本シリーズJTカップ(4~7日、東京よみうりCC、報知新聞社主催)出場へ滑り込んだ。15位の片山晋呉(35)=神奈川クリニック=は史上2位となる5度目の賞金王が決定。73で3アンダー13位だった石川遼(17)=パナソニック=は国内プロスポーツ史上最年少の獲得賞金1億円突破を果たした。1年間の優勝者と国内賞金ランク25位までによる日本シリーズ出場27選手も決まった。
30センチのウイニングパットを沈めると、小田は万歳をして喜んだ。「最高っす。不思議な気持ち。優勝したら泣くと思っていたけど意外に泣かなかったですね」と人なつっこい笑顔を浮かべた。
周囲に支えられて“レッドクリフ”を制した。ラウンド前。コースの風呂場でストレッチをしていると、片山と矢野が歩み寄ってきた。「“2、3番でボギーをたたくと追い付くぞ”って10回ぐらい言われました。完全なイジメですよ」午前4時半に目が覚めるなど緊張していたが、この“言葉責め”で周囲に笑いの輪が広がり「ドキドキしていたのが収まった」。最後に片山が言った「日本シリーズで待ってるよ」の言葉を力にした。かわいがってもらっている中嶋常幸からは、朝に「勝つも負けるも運次第。天に任せろ」と励まされた。1番で2メートルのバーディーパットを沈めて落ち着くと、5バーディー、5ボギーだった第3日とは別人のように2バーディー、2ボギーの安定飛行で完全優勝を飾った。
名前の由来は、2世紀後半、中国・三国時代の蜀の天才軍師だった諸葛亮孔明から。今年4月に生まれた長男・龍亮(たつあき)ちゃんにも1文字もらうほど思い入れは強い。家を空けることが多いため「そっぽを向かれる」と、愛息に顔を忘れられているのが悩みの種だが、この優勝で最終戦へ滑り込み出場。顔を思い出してもらうのは、1週間延びることになりそうだ。
「昨年初めて出て7位。コースも分かっているので、この勢いで行っちゃおうかな」かつての孔明は志半ばでこの世を去ったが、現代の孔明は違う。日本シリーズJTカップでメジャー優勝を飾り天下統一する。
◆小田 孔明(おだ・こうめい)1978年6月7日、福岡県生まれ。30歳。小学1年でゴルフを始め、東京学館浦安高を経て00年プロ転向。今季ドライビングディスタンス295.77ヤードで2位の飛ばし屋で、平均パット数も1.7589で1位。家族は妻と1男1女。176センチ、95キロ。
◆諸葛亮孔明 2世紀後半の中国に生まれ、戦乱の三国時代の主役となった軍略家。魏の曹操、蜀の劉備、呉の孫権が覇権を争った中、自らを「三顧の礼」で迎え入れた劉備を作戦参謀として支え、赤壁の戦いに勝利した。法律を破ったものには身内でも罰するという「信賞必罰」で尊敬を集めた。