ハンセン病:熊本の元患者・宿泊拒否から5年 鳥取ピース・クロスが講演会 /鳥取

11月29日17時1分配信 毎日新聞

 ◇来月4日に倉吉で 療養所の元自治会長を招き
 熊本県の国立ハンセン病療養所、菊池恵楓園の入所者が同県内のホテルで宿泊を拒否された事件から5年が経った。事件を検証し、共生の社会づくりを考えようと「鳥取ピース・クロス」は来月4日午後6時半、倉吉市駄経寺町の倉吉交流プラザで同園の元自治会長、太田明さんを招いて講演会を開く。
 03年11月、熊本県南小国町のホテルが、県の「ふるさと訪問事業」で予約した同園入所者の宿泊を「他の客に迷惑」として拒否した。ホテル側が「宿泊拒否は当然」と開き直り事態は紛糾した。入所者がホテル側の謝罪文の受け取りを拒否したことで、同園には入所者を中傷する電話やファクスが多数送りつけられ、二次的な人権侵害を引き起こした。拒否から1カ月後、入所者は謝罪を受け入れた。
 ピース・クロス世話人の池原正雄さん(63)は、これまで全国のハンセン病療養所を訪ね、元患者と交流を続けてきた。「自分がホテルの支配人だったらどうしたのか。はわい温泉や三朝温泉で同じことが起こったらどうするのか。もう少し想像力をもって考えてほしい」と話す。
 池原さんは、療養所で鳥取出身だと告げると「無らい県運動の鳥取ね」と返されたことが胸に突き刺ったという。県は1936年、癩(らい)予防協会を設立し、県内から患者を無くす「無らい県運動」を推し進めた。「療養所での暮らしが幸福」という当時の誤った認識が強制隔離を当然のことのようにした。
 池原さんは「常識だと思われていることもまずは疑う。そしておかしいと思ったら声を上げられる社会でなければならない」と訴える。
 講演会には県内在住の被差別部落出身者や在日朝鮮人も招き、宿泊拒否をどう受け止めたかについて意見を交換する予定。また、恵楓園入所者が園内での生活の悲哀を歌った「菊池野ブルース」に池原さんが歌詞を足した曲も歌う。
 参加費500円。高校生以下は無料。問い合わせは鳥取ピース・クロス(0858・22・0575)へ。【武内彩】

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