11月30日9時9分配信 京都新聞
京都市内観光の訪問先で21年連続トップの清水寺を、長く2番手に甘んじてきた嵐山が追い上げている。温泉やライトアップなどの魅力づくりに加え、京福電鉄嵐山線が今春から延伸した市営地下鉄東西線と連絡して行楽客が増えており、悲願の王座奪還は近い?
「若いカップルが増えた。地下鉄延伸で夜まで散策する人も出てきた」。渡月橋そばの土産店「新八老舗店」(右京区)の中川光昌営業チーフ(32)は話す。
市観光調査によると、市内を訪れた観光客が立ち寄った割合を示す訪問率は、清水寺が1987年に嵐山から首位を奪ってから昨年まで連続トップ。ただ、5年前の2002年は清水寺と嵐山は2倍以上の開きがあったが、昨年は清水寺が21・2%、嵐山が15・9%と、その差は5・3ポイントと半分以下に縮まっている。
「古い街並みの東山から自然回帰で再び西に移ってきた」と京福電気鉄道の田中輝重専務はみる。嵐電新駅と延伸した地下鉄の接続効果で4-9月の嵐山線旅客数は前年同期比5・2%増の約353万人。年間で8年ぶりとなる700万人突破を見込んでいる。
嵐山復活へ2004年に地元旅館が共同で開発した嵐山温泉や、昨年12月に100万人近くを集めた「京都・嵐山花灯路(はなとうろ)」といったオフシーズン対策や年配層、滞在客を取り込む仕掛けが底上げになったとみられている。
嵐山に追い上げられている清水寺だが、これはあくまで訪問率の話。市内観光客数が増えているため、拝観者数は昨年度、過去最高の500万人台に乗った。同寺は「嵐山の人気が再び伸びてきたことは京都観光の底上げにつながり、非常に喜ばしい」と余裕をみせている。