12月2日14時0分配信 毎日新聞
◇付加価値で活性化
福島市郊外の「土湯温泉」の組合が1日、JR福島駅発着の無料シャトルバス「湯めぐり号」の運行をスタートした。消費低迷で団体客が減る中、少人数の客を共同で送迎し効率化を図る試みで、温泉地あげてのシャトルバス運行は県内初という。【神保圭作】
土湯温泉旅館事業協同組合(斎藤建一郎理事長)が1日2往復運行し、加盟旅館25軒のうち14軒が参加した。バスは28人乗りで、片道40分~1時間で駅と温泉地を結ぶ。
同温泉はこれまで、各旅館が個別に観光客を送迎していたが、ガソリン高騰が経営を圧迫していた。また送迎がなかった旅館もあり、マイカーだった客がバスに切り替え、冬季の雪道も安全という。
この日、第1号のバスに5グループ15人が乗り込んだ。土湯温泉で歓迎セレモニーも開かれ、「土湯こけし」が客にプレゼントされた。
夫妻で訪れた郡山市のタクシー運転手、太田国広さん(59)は「いつもは車で来るが、運転だけで疲れ、温泉に入るとすぐ寝てしまう。今回は電車で来たので、ゆっくり仕事の疲れを取れそうです」と笑顔で話した。
県旅館ホテル生活衛生同業組合の佐藤精寿事務局長は「どれだけ付加価値をつけられるが勝負。地方の観光地活性化の一つのモデルになるのではないか」と話した。
バス事業費のうち4割が国交省の「観光圏整備事業」で補助され、残りを参加旅館で分担していく。同市の「飯坂温泉」でも同補助事業を活用し、来年1月にも「福島の『食』バラエティー宿泊パック事業」を始め、滞在促進を図る予定。