12月2日13時1分配信 毎日新聞
◇「財政認識し、将来のあり方考えて」
箱根町二ノ平の町立箱根中学校(中条政夫校長)で1日、山口昇士町長が3年生約90人に社会科の授業をした。テーマは「箱根町は年収87億円のお金持ち?」。税収増に「遊園地をつくったら」など生徒からユニークな意見も飛び出した。
町長による初の授業は「地域教育の一環。財政を認識させ、将来の町のあり方を考えさせるのが狙い」と小林恭一教育長。生徒たちは町の歳入歳出など事前学習をして臨んだ。「87億円」は今年度一般会計当初予算の総額。生徒の約8割は「豊かだと思う」に手を挙げた。「観光客も多く、全国の市や町と比べても豊か」。これに対し「厳しい」と答えた生徒からは「所得の伸びが鈍っている。借金(町債)をして予算を立てている」というものだった。
山口町長は財政力指数を示し「今年度の町債が5億円あるなど、財政環境はきわめて厳しい」と説明。「少子高齢化で人口の『逆ピラミッド』が進み、そのための多様な行政サービスが必要になる」と話した。
「限られた財源で、どう予算を組むか」には、生徒たちから「温泉をもっと宣伝する」「観光客相手の施設を増やす」といったアイデアや、支出を減らすには「ゴミを減らす」「議員の人数を削減」との意見も出た。中には「宮城野にデパートを」「仙石原に遊園地的なものをつくれば」という発言も飛び出し、教室は爆笑に包まれた。
山口町長は「町の様子を頭に入れ、町への愛着や、町を思う気持ちを養い、将来、箱根を支える人材になってほしい」と授業を締めくくった。【澤晴夫、写真も】