12月9日8時4分配信 産経新聞
赤字が続いている大津びわこ競輪場(大津市二本松)の平成21年度から3カ年の収支改善計画を8日、同競輪場を運営する大津市が発表した。娯楽の多様化などで客足が遠のき、16年度以降5年連続で赤字決算となる見込みで、19年度末現在の累積赤字は約12億1000万円。改善計画には、的中者がいない場合は払戻金が繰り越される車券「チャリロト」を近畿圏で初めて導入することなどが盛り込まれている。
市公営競技事務所によると、同競輪場は昭和25年にオープン。G1「高松宮記念杯」の開催場として知られ、全盛期の9年度は年間車券売上額が約494億円あった。しかし、近年は販売が伸びず、19年度で約206億円にまで落ち込んでいる。
この状況を受けて市は4月、「競輪事業経営安定化委員会」を立ち上げ、改善計画の策定を進めていた。市議会でも「競輪事業調査特別委員会」を設置して計画をまとめた。
計画では、競輪場が、同じく公営ギャンブルのびわこ競艇場(同市茶が崎)と約500メートルしか離れていないことを指摘。これまでは警備上の問題などで、同競艇場と開催日が重ならないよう調節してきた。その結果、他の競輪場では最大約240日ある場外車券の販売日数が、20年度は181日と少なかった。改善計画では、今後自主警備を強化することで、場外車券の販売日数を増やしていく。
また、ファンの新規開拓を狙い、的中者がいない場合払戻金が繰り越される車券「チャリロト」の発売を21年1月16日の試合から始める。
払戻金の最高額は、コンピューターが勝者を選ぶ「チャリロト」(1口200円)で12億円、自分で勝者を選ぶ「チャリロトセレクト」(同100円)で6億円。平塚(神奈川県)、伊東温泉(静岡県)、小倉(福岡県)の各競輪場でも導入され、これまでに最大7969万8600円の払い戻しを記録している。大津びわこ競輪場では3競輪場の実績などから、平均1日500万円の売り上げを見込んでいる。
そのほか、駐車場の縮小▽ファンサービスの充実▽無料送迎バスの新路線設置-などで、計約2億6400万円を削減、24年度以降の営業収支を約1億3000万円の黒字にするとしている。