12月9日13時1分配信 毎日新聞
旅館のサービス向上を目指し、県観光物産連盟は県内の温泉旅館で初の「覆面調査」を行った。対象は石和温泉と河口湖温泉のそれぞれ1カ所の旅館で、都内のコンサルタント会社が接客や施設などの顧客満足度を調査。8日に報告会が開かれた。
調査は今秋の平日、60代の夫婦の調査員が行った。対象の旅館は、いつ、どのような調査員が来るかを知らされなかった。
石和温泉の調査対象は旅館「きこり」(同市石和町川中島)。調査結果によると、料理が高評価で、施設や接客についても十分な水準を保っていた。しかし、ホームページ(HP)が旅館の特徴を表現できていないほか、部屋の座布団の染みや大浴場の汚れなどの指摘があった。
そこで、季節ごとの料理を紹介するなどHPの内容を変えたところ、11月のHPによる予約客数が前年の同月に比べて2倍になったという。石和温泉旅館協同組合の理事長でもある山下安広社長(61)は「細かい点で気をつかっているつもりだったが、改善すべき点があった」と話した。
河口湖温泉は「ホテルニュー富士」(富士河口湖町浅川)が対象。全分野で「総じて高水準」という報告を受け、おかみの外川由理さん(34)は「思っていたよりも点数が良かった」と胸をなでおろした。「他者から違う目で見てもらえるのは良い機会」と話す。
今回の調査は無差別ではなく、調査を希望する旅館の中から旅館組合が推薦した旅館が対象。こうした方式にした理由について県観光物産連盟は「汚点が如実に出る可能性があり、結果を公開する了解を得ることが難しかったため」と説明している。
同連盟の望月啓治事務局次長は「各旅館にとって、いい刺激になれば」と話していた。【小林悠太】