冬のボーナス:「厳しい年の瀬」に悲鳴 官公庁、民間軒並みダウン /福島

12月11日13時0分配信 毎日新聞

 ◇過去10年で最低額
 ◇貯金に回す/ローン支払い/旅行は近場で/政府は無策/先行き不安…
 県や大半の市町村で10日、冬のボーナスが支給された。福島経済研究所の試算では、県内の官公庁の支給総額は約463億円と前年比で3・9%減り、民間企業も約1902億円と同比1・8%減。ともに過去10年で最低で、「厳しい年の瀬」となった。世界的な経済減速が県内にも大きな影を落としており、街頭では「どうにもならない」「瀬戸際だ」などと悲鳴が上がった。【まとめ・西嶋正法】
 県は今年度から、期末手当を一律5%削減し、さらに県人事委勧告に基づき0・02月分引き下げた。支給総額は約255億円と昨年を5・51%下回り、3年連続で減少した。平均支給額は、▽一般職員87万27円▽教員93万2716円▽警察官83万8203円。特別職は基準額の報酬がカットされており、前年と同額。佐藤雄平知事は325万円だった。
 同研究所によると、民間のボーナス支給総額は4年連続の減少で、99年比で3割減という。高橋宏幸研究員は「金融不安で県内企業も収益が悪化しており、ボーナス支給月数が減っている。収益環境が好転しない限り、来年以降も減少傾向が続くだろう」と話す。
 ◇電話相談を開設
 また県労連は12日、景気低迷による労働条件の悪化を受け、電話相談窓口「労働相談ホットライン」を設置する。フリーダイヤル(電話0120・378・060)のほか、県内7カ所でも受け付ける。午前10時から午後6時まで(一部を除く)。
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 街頭でサラリーマンらに、今冬のボーナスについて尋ねた=別表参照。支給額は軒並み減少傾向で、ボーナスが打ち切られた人もいた。使い道も、先行き不透明のため貯蓄に回したり、倹約する人が目立っており、年末商戦などにも影響しそうだ。
 政府への不満も大きく、「問題を先送りし続けている。早急に対策を」(いわき市の男性)、「産業界に金を投入するのではなく、個人のローンに補てんしてほしい」(福島市の男性)、「選挙より景気対策だと言っていたのに」(南相馬市の男性)などの声が上がった。
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 ◆街で聞いた「今冬のボーナス」◆
 ((1)ボーナス額(2)昨冬との増減(3)使い道(4)不況に一言)
▽製造業、男性(25)=南相馬市
(1)18万円(手取り)(2)マイナス5万円
(3)温泉やスキー旅行に使っていたが、今年は近場で済ませる。来夏にボーナスが出るか不安なので、残りは貯金する。
(4)首相が変わり景気対策だと言っていたのに、政府は何もしていない。いつか仕事を失うのではと不安。公務員がうらやましい
▽美容師、女性(28)=福島市
(1)ゼロの見込み(2)マイナス10万円
(3)昨年はカードの支払い。今年もカード払いに使う予定だったのに
(4)ヘアカットは生活に必需でなく、不況のあおりで客足が減り困っている。物価も高くなっており、消費税を上げないでほしい
▽金融業、男性(31)=福島市
(1)68万円(額面)(2)マイナス1万円
(3)将来の人生設計のため貯金する
(4)不景気や業界の再編で業績が上がらず、ボーナスが下がるのは仕方がない
▽会社員、男性(43)=福島市
(1)60万円(額面)(2)マイナス60万円
(3)昨年と同様、車のローンなどに使い 切る予定
(4)政府は一般国民の暮らしを楽にする政策をとってほしい。一家で4万円余の定額給付金をもらっても、どうにもならない
▽サービス業、男性(48)=いわき市
(1)25万円(手取り)(2)マイナス18万円
(3)例年、家族の生命保険料を一括払いしていたが、今年は持ち出し
(4)年末に来て、売り上げが昨年より2割減。政府が早急に対策を打ち出さないと会社の先行きが危ない。企業は瀬戸際に立っている
▽電機製造会社員、男性(49)=西郷村
(1)72万円(額面)(2)マイナス3万円
(3)子供の教育費を確保する。嗜好(し こう)品は買わない
(4)消費マインドが冷え込み、クリスマス商戦も苦しそう。政府の対応にスピード感がない。まず、お金持ちがお金を使ってほしい
▽金融関係団体職員、男性(50)=郡山市
(1)92万円(額面)(2)据え置き
(3)住宅ローン以外は、生活費の補てんのため貯蓄に回す
(4)取引先で設備投資など融資需要が少なくなっており、先行き不安だ

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