12月12日11時14分配信 時事通信
東京都渋谷区の温泉施設「シエスパ」で昨年6月、従業員3人が死亡し、5人が重軽傷を負った爆発事故で、警視庁捜査1課と渋谷署は12日、業務上過失致死傷容疑で、施工した大手ゼネコン「大成建設」(新宿区)の角田宜彦・空調設計責任者(50)=世田谷区=と、施設を所有する「ユニマット不動産」(港区)の取締役ら2人を書類送検した。
捜査1課はガスの危険性への安全対策を怠ったため、「過失の競合」で事故が起きたと判断した。
同不動産で送検されたのは、保守管理統括者の菅原啓之取締役(46)=中野区=と、保守管理の補佐担当(41)=神奈川県相模原市=で契約締結業務を担当していた。
調べに対し、3人は容疑を認めているという。
調べによると、付属施設地下からくみ上げられた源泉は、ガスを分離して本館に供給。分離ガスや、分離できずに源泉漕(そう)に残ったガスは、配管や換気扇で排出する計画だった。しかし、住民から騒音や爆発の危険性への苦情があり、本館から排出するよう配管設計をU字形に変更。結露による水で詰まる危険性があったのに、大成の責任者は説明書などで水抜き作業の必要性や方法を説明しなかった疑い。同不動産の2人もガスの危険性を認識しながら、保守管理契約の際、ガス抜き配管などの点検項目を設けず、検知器を設置するなどしなかった疑い。同課は、一回も水抜き作業をせずに、配管が詰まってガスが逆流したため、機械室に充満して制御盤内のスイッチの火花に引火したとみている。