<地熱発電>温暖化対策で評価 課題は(3止)「財政再建の柱」/「源泉に影響」 群馬で嬬恋村、草津町対立

1月12日18時49分配信 毎日新聞

 群馬県では、嬬恋(つまごい)村の地熱発電所建設計画に、隣接する草津温泉が猛反対。財政再建を地熱に託す嬬恋村と、自然湧出(ゆうしゅつ)量日本一を誇る源泉を守りたい草津町の主張が対立している。

 村が地熱発電にこだわるのは、財政再建への期待からだ。バブル期のインフラ整備で借金を抱え、07年度決算では、収入に占める借金の比率(実質公債費比率)が25%を超え、再建努力が必要な「早期健全化団体」になった。全国有数のキャベツ生産地としても知られるが、村は再建策として地熱発電に頼ることを決めた。熊川栄村長は「村に眠る資源を、環境に負担を与えずに有効活用できる」と強調する。

 一方、草津町は源泉への影響を恐れる。嬬恋村が建設候補地として挙げた草津白根山のふもとの石津地区は、草津温泉の主な源泉7カ所の一つ「万代(ばんだい)源泉」から約3・5キロと近い。町は「ボーリング調査だけでも湧出量や湯温に影響が出る」と警戒する。80年と97年にも計画が浮上し、草津町の反対で頓挫した経緯がある。

 昨年4月、嬬恋村がNEDOに補助を申請すると、草津町は町を挙げての反対運動を展開。7月には町民集会を開き、決議文を熊川村長あてに送った。しかしNEDOへの申請が08年度は認められず、騒動は一時沈静化している。想像以上に波紋が大きかったため、村は今年4月の再申請をいったん見送り、安全性や源泉への影響を再度検討するという。【伊澤拓也】

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