福来みかん、祝いの席でいかが? 茨城・つくばで発泡酒を商品化

1月13日8時2分配信 産経新聞

 めでたいときは「福来(ふくれ)みかん」のお酒で乾杯を-。筑波山中腹の各旅館で1月から、地元特産の福来みかんを使った発泡酒「福来プレミア」が発売された。つくばエクスプレス開業で増加した観光客向けに土産物を開発している筑波山旅館組合青年部(蔵本剛部長)が牛久市の「シャトーカミヤ」と共同で商品化。関係者は「名前の通り、福が来るようお祝いの席で飲んでほしい」と話している。(篠崎理)

 福来みかんは、筑波山周辺で栽培される小粒のみかん。地元では筑波みかんとも呼ばれる。酸味が強いため食用としてはあまり人気がない。皮は七味唐辛子の材料に使われるが、果肉はほとんどが捨てられている。

 青年部はこの捨てられる果肉に着目。地ビール造りで実績があるシャトーカミヤに依頼し、3年半前から発泡酒の研究を始めた。

 とはいえ、福来みかんは栽培農家が少ないため量を集めるのに一苦労。ようやく集まった果実の皮むきは青年部員の手作業。蔵本部長は「真夜中までの皮むきで手は真っ黄色。もうミカンなんか見たくないと思った」と苦笑する。

 まだ熟す前の青い果実を使ったり、果汁の割合を変えたりなど工夫を重ねた。女性をターゲットとするため、試作品を旅館の女性従業員らに試飲してもらうなど研究を続け、ようやく満足できる商品が誕生した。

 完成した発泡酒は濾過(ろか)していないためグラスに注ぐとやや黄色みを帯びた濁りがある。味はさわやかな酸味と軽いのどごしのバランスがほどよい。アルコール度数は約3%と控えめ。当初の狙い通り、女性向きの飲みやすい味に仕上がっている。

 ミカンの収量が少ないため仕込んだ量は全部で約200リットル。価格は旅館によって異なり、中ジョッキ1杯600~800円。

 現在はビン入りや缶入りはなく筑波山中腹の江戸屋、青木屋、つくばグランドホテル、筑波温泉ホテル、一望の各旅館でのみ提供される。

 蔵本部長は「昨年は暗い話題が多かったが、今年は福が来るよう福来プレミアで、世の中が明るくなってほしい」と話す。

 青年部では、将来的には土産として持ち帰れるようにビン入りや缶入りも作ることを検討している。

 問い合わせは筑波山温泉センターつくば湯(電)029・866・2983。

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