1月13日8時2分配信 産経新聞
松山市のお座敷文化を後世に伝えようと、NPO法人「松実会(まつみかい)」が地元で発足、芸者の支援を始めた。会員はすでに県内を中心に約300人で半数が女性。松山発祥のお座敷芸「野球拳」を観光客に楽しんでもらう企画や後継者育成の手助けをする。
道後温泉を抱える松山市。明治以降に花街が栄え、戦前は1000人を超す芸者がいたが現在では10人ほどに過ぎない。平成18年に芸者になった千代鷺(ちよろ)さん(30)、八千代鷺(やちよろ)さん(28)姉妹の支援者が、伝統芸を残してもらうため2人を招くお座敷会を定期的に開いたのが松実会設立のきっかけだ。
松山市などと協力して毎月1回、松山城で「お城の舞」を開催。2人が天守で郷土民謡「伊予節」などを舞い、観光客に服を脱がない本来の野球拳を指導する。芸者を体験してもらうワークショップも随時開いている。芸者になりたい人に芸習得の費用などの援助も検討しているという。
八千代鷺さんは「松山の芸者は芸一筋という点で、全国に引けをとらない」。松実会理事長の栗林しげみさん(53)も「お座敷の世界には今どき珍しいぐらいの義理堅さが残っている。その美しさを紹介していきたい」と抱負を語る。
年会費は1万5000円。入会すると2カ月に1度のお座敷会に1万5000円で参加できるという。問い合わせは松実会((電)089・935・6086)。