2月4日12時3分配信 産経新聞
徒歩で日本1周にチャレンジしている若者がいる。北海道札幌市の宮下桂(けい)さん(21)。高校時代の交通事故をきっかけに「歩けることを感謝したい」と平成19年6月、出身の北海道を出発した。1年8カ月でほぼ8割を踏破。4日には、兵庫県新温泉町から鳥取県を目指して海岸線を歩いた。ゴールの鹿児島県には3月末に到着する予定だ。
宮下さんは、高校2年のとき、交通事故で3カ月間入院。「危うく下半身不随で歩けなくなるところだった。そのとき、元気になったら歩いて日本1周をしようと思った」という。
高校卒業後、ハムの加工場で約2年間働いて約100万円の資金をため、19年6月10日、出発。基本的には、無人駅や道の駅などに宿泊するが、「自分の足で全国を回りたいだけ」と、10日に1日のペースで休息を兼ねてビジネスホテルなどを利用している。
北海道から東北、関東をブロックごとに回った。長野県で資金が底をついたため、再びアルバイトをして旅を続けた。北陸や近畿、四国の各地方を回った後、山口県から中国地方の瀬戸内側を歩いて1月22日に兵庫県に入り、北上。豊岡市では冒険家、植村直己さんの偉業をたたえる「植村直己冒険館」を立ち寄り、「植村さんのように悔いのない人生を送りたい」と誓ったという。
1日に歩く距離は平均25キロ。四国では氷点下に近い屋外で寝たこともあり、「寒さが歩く気力を奪い、きつかった」と振り返る。旅を始める前は「感動することが少なかった」が、旅を続けるうち、ちょっとした人の親切や励ましに感激するようになったという。
宮下さんは「ゴールしたら、早く家に帰りたい」と話したが、ゴールではきっと大きな感動が待っているはずだ。