2月4日18時48分配信 産経新聞
日本郵政が所有する「かんぽの宿」70施設のオリックスグループへの一括譲渡問題で、鳩山邦夫総務相は4日、日本郵政に対し入札の経緯などの報告を行うよう要求した。日本郵政株式会社法に基づく措置で、16日までに十分な回答が得られない場合は、総務相の権限に基づく立ち入り検査に踏み切る。日本郵政が契約書の開示などを拒否してきたため「最後通告」を突き付けた格好だ。
報告要求は「不透明な入札経緯」(鳩山氏)を解明するためで、入札に応じた他の26社の入札価格などの開示を求めている。鳩山氏は報告要求後、記者団に対し「(譲渡額109億円に対し)400億円以上で応札した会社もあると聞く。恣意(しい)的な選定があったのではないか。報告で明らかにならなければ、立ち入り検査もありうる」と述べた。
日本郵政は政府が株を100%保有し、日本郵政株式会社法15条は、総務相の判断で業務報告をさせたり、同省職員が同社に立ち入りして帳簿や書類、物件を検査できると定めている。
「かんぽの宿」問題は4日の衆院予算委員会でも取り上げられ、出席した日本郵政の西川善文社長は「ゼロから検討する」と答弁し、オリックス側への譲渡断念を重ねて表明した。
国民新党の下地幹郎衆院議員は、旧日本郵政公社時代の平成19年3月に沖縄県内の施設が不動産会社に1000円で売られ、その後に学校法人に4800万円で転売されたことを明らかにした。
一方、譲渡対象に含まれた「かんぽの宿 有馬」(神戸市)がある有馬温泉観光協会の当谷正幸会長が4日、鳩山氏をたずね、「オリックス側への一括売却ではなく、地元で引き受けることも考えている」とする要望書を手渡した。