ウェルサンピア伊賀:地元団体が落札 事業継続を検討「市民の願いがかなう」 /三重

2月20日12時1分配信 毎日新聞

 国の年金改革の一環で売却される伊賀市西明寺の厚生年金福祉施設「ウェルサンピア伊賀」の一般競争入札が19日、東京都内であり、施設存続のため、商議所や市など10団体の代表によってつくられた「株式会社伊賀 設立発起人会」(代表・鹿野俊介ウェルサンピア伊賀顧問)が5億2200万円で落札した。今後は、現状での事業継続に向け同会で検討を進める。
 同会が発表した。入札は独立行政法人「年金・健康保険福祉施設整理機構」が行い、複数の業者らが参加した。設定されていた最低売却価格は4億1500万円だった。
 同会は昨年12月、落札できた場合の受け皿組織を作るために発足、会社設立への資本金(1株5万円)出資や運営協賛金(1口2000円)の申し込みを広く一般市民らに呼びかけてきた。同会によると18日までに資本金6000万円、市民ら3318人から協賛金約830万円の申し込みがあった。
 発起人の1人で市自治会連合会の今高一三会長(78)はこの日、市内で記者会見し、「施設は市民にとって福祉、親睦(しんぼく)の拠点。市民の願いがかない、これほどうれしいことはない。自治会としての使命を遂行できた」と話した。
 施設は92年オープン。敷地は3万1300平方メートルで、宿泊棟(34室、鉄筋4階建て延べ約9800平方メートル)のほか温泉保養棟、スケートリンクなどがある。07年度は年間延べ約33万8000人が利用し、経常利益は約740万円の黒字だった。【伝田賢史】
 ◇利用者ら安堵の声
 「株式会社伊賀 設立発起人会」によるウェルサンピア伊賀の落札が決まった19日、利用者やサンピア職員からは安堵(あんど)の声が相次いだ。温泉に訪れた同市緑ケ丘東町の中尾大輔さん(90)、敏子さん(83)夫婦は「存続のめどが立ち良かった。いい湯で何回も来ているし、今後も利用し続けたい」と話した。同市内の女性(65)も「家の風呂とは全然違い、良い施設。大勢で利用して盛り立てていかないと」と笑顔だった。
 この日は、サンピア伊賀に落札結果に関する問い合わせが相次いだ。副支配人の油井順治さん(48)は、「皆さんのご支援で発起人会が落札でき、ありがたい気持ちでいっぱい」と感謝していた。【伝田賢史】
〔伊賀版〕

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