志賀直哉ゆかりの桑の木、新芽を期待…兵庫・豊岡

2月19日1時7分配信 読売新聞

 雪の重みで枝が折れ、無残な姿となっていた兵庫県豊岡市城崎町にある志賀直哉ゆかりの桑の木が、県道上に倒れる恐れがあったため、地元住民が復活を願い、幹を根元から伐採した。

 2代目の木で樹勢は衰えておらず、春には切り株から新芽が出るという。城崎温泉の観光ガイドを務める四角澄朗さん(63)は「小説『城の崎にて』の舞台となった風景を残していきたい」と話している。

 木は温泉街を流れる大谿川(おおたにがわ)上流約2キロの県道沿いにあるが、1月の大雪で大きな枝が折れた。5年前の台風でも根元で枝分かれした幹の一本が倒れ、そばに放置されたままだった。根元には空洞になった部分もあった。

 枝が折れたことで、木全体のバランスが崩れて県道側に傾いた状態となり、倒れる危険もあったため、四角さんら住民3人が城崎温泉観光協会などの関係機関と対応を協議し、8日に伐採した。

 同観光協会によると、2代目のすぐ近くにもう1本の桑の木があり、「城の崎にて」で描写された桑や川のせせらぎがイメージできることから伐採を決断した。切り株から新芽が出ない場合は、3代目を植樹する。

 「城の崎にて」は1917年に発表された志賀直哉の代表作の一つ。城崎温泉の全国的な知名度アップに大きく貢献した小説で、温泉街周辺の豊かな自然が描写されている。城崎文芸館内にある同観光協会には「桑の木はどこにありますか」と、尋ねる観光客もいるという。

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