中学生以下は全額負担 インフルエンザ予防接種ですさみ町

3月3日17時10分配信 紀伊民報

 和歌山県すさみ町は、幼児・小中学生のインフルエンザの予防接種と、75歳以上を対象にした肺炎球菌ワクチンの接種を、2009年度から町が全額負担する予定。一方で、町地域福祉センター内の「いのぶた温泉」の一般入浴を廃止して赤字削減を図る。デイサービスによる温泉利用は継続する。橋本明彦町長は「住民の健康管理と医療費の軽減につながれば」としている。事業費を盛り込んだ2008年度一般会計補正案と09年度当初予算案を、6日開会の町議会定例会に提案する。
 インフルエンザの予防接種や肺炎球菌ワクチンの接種を自治体が全額負担することについて、県難病・感染症対策課は「県内では聞いたことがない」と話している。
 インフルエンザの予防接種は、各自治体が65歳以上を対象に費用の一部を補助して実施している。すさみ町も同様の取り組みをしており、今後も継続する予定。さらに、09年度からは1歳以上の就学前幼児と小学生、中学生を対象に全額負担して実施する。
 町によると、09年度の対象者は約500人。費用として一般会計当初予算案に約220万円を計上している。町は「子どもの数が少ないので実施できる施策」という。
 肺炎球菌ワクチンは、高齢者の肺炎の原因となる病原体のうち、最も頻度の高い「肺炎球菌」を狙った予防ワクチン。肺炎球菌にしか効果はないが、肺炎になっても軽くすみ、抗生物質が効きやすい特徴があるという。いまのところ日本では一生に1回の接種しか認められていない。
 対象者は約1200人。国の08年度「地域活性化・生活対策臨時交付金」を受け、予算約810万円全額を09年度に繰り越して実施する。
●一般入浴を廃止 いのぶた温泉
 「いのぶた温泉」は、燃料代や人件費の負担が大きいのと、支援や介護が必要な人のケアを中心とした運営にするため、昨春から一般客の入浴時間を大幅に短縮している。しかし、06年度約450万円、07年度約730万円、08年度約550万円と赤字が続き、深刻な問題となっている。
 橋本町長は「料金アップによる一般入浴の継続も検討したが、入浴者が少ないこともあり、赤字解消にはならないと判断、やむなく廃止を決めた。限られた予算を組み替え、少子高齢化が深刻な将来を見通した対策に重点を置いた」と話している。

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