7月5日12時0分配信 毎日新聞
◇ディスカバージャパンブーム…今は外国人7割…
高山市天性寺町の「天性寺」(銅島大衍住職)に併設する「ひだ高山天照寺ユースホステル」(YH)が今月17日、開設50年目を迎える。半世紀もの歴史を刻んだのは県内唯一。全国約300カ所の中でも数少ない。大衍住職の妻で、マネジャーの美江さん(66)は「今はヨーロッパなど外国人の青年が70%。維持管理は大変ですが、がんばって続けてきたおかげで世界の人たちと友達になれました」と振り返った。【奈良正臣】
YHはドイツが発祥で、現在世界に4000カ所ある。日本では1951年に日本ユースホステル協会が創設。天照寺YHは60年7月に大衍住職の父、故興真住職が「青少年に自然を愛し、仲間たちと相互理解を深めてほしい」と開設。県内では中津川、郡上、飛騨市古川町の計4カ所。
JR高山駅の東約1キロの通称・東山と呼ばれる高台の寺院群の一角にある。当時は1泊2食325円(米持参)。他に自炊料20円、風呂代15円、シーツ代20円。大衍住職は「父は毎晩、泊まり客全員を本堂に集めてミーティングを開き、ゲームや歌で交流していた」と思い出を語る。
美江さんは「当時、高山市では子ども会活動が盛んで、研修の子どもたちで大にぎわいでした。青少年の親代わり(ペアレント)になるのが、ユースホステルの務めだった」と懐かしそう。
昭和40年代初め、高山はディスカバージャパンブームで観光客が増え、同YHもいつも大盛況だった。学生時代に高山で知り合った縁で何組もの夫婦が誕生し、今も家族で訪れるという。
近年は若者たちがホテルなどを利用するようになり、にぎわいは落ち着いた。だが、仏・ミシュラン社の日本ガイドブックで「高山」が観光地の三つ星に選ばれ、同社発行の旅行ガイド「JAPON」に同YHの名前がトップ掲載されたことから、最近はヨーロッパからの旅行客が増えた。美江さんは「英語やフランス語は苦手ですが、外国の人とも心で通じ合うことができるようになりました」と笑顔で話す。
天性寺(旧天照寺)は徳川家康の六男で、高山へ幽閉された松平忠輝が8年間居住。明治維新の神仏分離令によって寺号を「天性寺」に改めたという。
◇宿泊料を割引 携帯ストラッププレゼントも
同YHは50年目の17日、宿泊客に「さるぼぼ」の携帯ストラップをプレゼントし、宿泊料金を割り引く。
「ひだ高山天照寺ユースホステル」(0577・32・6345)。