源泉に感謝ささげる 蔵王温泉開湯1900年で神事

国内最古の温泉の一つとされる山形市の蔵王温泉が今年、開湯1900年を迎えた。8日朝には旅館の経営者や観光協会職員らが伝統行事「洞開(どうかい)」に臨み、源泉に感謝の気持ちをささげた。冷え込みが続く観光業界への起爆剤にしようと、温泉街や観光協会の関係者らは、さまざまな記念イベントの準備を進めている。

 蔵王温泉は西暦110年、日本武尊の東征に従った吉備多賀由(きびのたがゆ)により発見されたという伝説が残る。強酸性の泉質で、古くから皮膚病に高い効能があるといわれ、1日約8700トンもの湯量を誇る国内有数の名湯だ。

 温泉街に伝わる洞開は、風呂の栓を意味する「洞」を開け、湯を抜いて清掃し、新たな湯をためる行事。蔵王温泉では江戸時代から続いているとされ、正月恒例となっている。

 旅館経営者ら約60人が温泉街にある上湯、川原湯、下湯の3カ所の共同浴場を清掃。上湯では開湯1900年を記念して2人の巫女(みこ)が湯をくみ上げ、神事が執り行われた。蔵王温泉旅館組合の伊藤八右衛門組合長は「節目の年なので、今年は特別な年にしたい」と意気込みを語った。

 春や夏は新緑を楽しむ観光客、秋は紅葉、冬はスキーや登山客など、年間で約100万人を超える観光客が訪れる。温泉街は100軒以上の旅館やホテル、民宿などが立ち並び、山形県内でも最大規模の温泉地だ。ここ数年はスキーを楽しむ台湾や韓国などからの外国人観光客も増えている。

 年間を通した観光客は年々減少。2008年度は約122万6000人で、前年度から約12万人も減っており、観光関係者らは頭を抱えている。

 旅館組合や蔵王温泉観光協会は、今年を観光客増加に向けた絶好のチャンスととらえ、春から夏にかけて記念式典や誘客キャンペーンなどを計画している。観光協会の岡崎宏一会長は「不況の影響もあって大変厳しい状況が続いているが、温泉街全体で力を合わせ、蔵王温泉の魅力を発信していきたい」と話している。

2010年01月09日土曜日

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