金沢の由屋るる犀々
『客喜ぶこと 同じ』
現役プロレスラー大森隆男さん(40)が二十五日、金沢市清川町の日本旅館「由屋(ゆうや)るる犀々(さいさい)」で、ホテルマンとしての第一歩を踏み出した。女将(おかみ)で妻の藤橋真由美さん(37)と“タッグ”を組み、旅館経営の世界に挑む。
大森さんは全日本プロレスなどで活躍し、AWA世界ヘビー級王者など数々のタイトルを獲得。得意技のアックスボンバーを武器に人気を集めた。東京出身だが、金沢市出身の藤橋さんと結婚。二年前に藤橋さんが故郷で旅館経営を始めた後は離れて住んでいた。
異例の転身を決意したのは昨年末。四十歳という年齢もあり、藤橋さん、長男の由士君(5つ)と一緒に暮らす道を選択。「プロレスでやり残したこともあるが、妻の姿を見て、旅館の仕事に魅力を感じていた」と大森さん。藤橋さんは「やっぱり近くにいるのは心強い」と話す。
旅館で大森さんは、平社員としてスタート。最初はフロントやウエーター、風呂掃除といったあらゆる仕事をたたき込まれる。「客に喜ばれることを大事にする意味で、レスラーとホテルマンは同じ」とサービス精神を語り、「プロの力を付けたい」と意気込む。
それでもリングには上がり続けるつもりだ。犀川沿いを走り、筋トレを続ける。いつかは金沢で興行を開き、プロレスで地域を盛り上げたいとも願っている。 (大島康介)