別府八湯・名人への道:/22 かんなわ ゆの香(御幸) /大分

11月7日16時2分配信 毎日新聞

 ◇おしゃれな宿で地獄蒸し
 長女日向子(3)が「味のある温泉に行きたい」と言う。そこで、本当に塩味、時にはダシの味さえ感じる鉄輪地区の温泉に行くことにした。
 鉄輪には、湯治客が長期滞在する貸間として始まった宿が多い。「かんなわ ゆの香」もそのひとつ。女将(おかみ)の葛城さや香さん(34)によると、戦後、湯治宿からスタートした。その後2代目社長の時代に旅館形式に変え、3代目となった06年、「若い世代にも受け入れられる宿に」をコンセプトに改装。屋号も柔らかいイメージに変えた。
 落ち着いた雰囲気の内装に変わっただけではない。誕生日などの記念日に合わせケーキがつく「記念日プラン」などの若者向け宿泊プランを準備した。食後のラウンジでは、音大出身の葛城さんが自らピアノに向かう。温泉蒸気を使った「地獄蒸しパン」作り体験プランも「体験した子どもがびっくりする今年の夏の大人気企画でした」(葛城さん)という。
 日向子と筆者は生のサツマイモを買い、蒸気が噴き出す地獄釜に入れてお風呂に向かった。ほのかに塩味を感じる風呂をゆっくり楽しんだ後、釜から取り出してアツアツのふかしイモを楽しんだ。
 「日向子さん、ここ気に入った?」と尋ねると、日向子は大きくうなずいた後、パンッと手をたたいて答えた。
 「お湯がいい」【祝部幹雄】
………………………………………………………………………………………………………
 源泉温度99度の塩化ナトリウム泉で、大浴場や露天風呂、蒸し湯などさまざまな風呂がそろう。温泉蒸気でイモや卵などを蒸す「地獄蒸し体験」もできる。立ち寄り湯は大浴場が一般500円、子ども250円▽家族湯が1時間1500円から。営業時間は正午~午後9時。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA