砂飲み込み呼吸困難か “砂風呂遊び”で重体の男子生徒 宇都宮

11月11日8時4分配信 産経新聞

 宇都宮市立城山中学校2年の男子生徒(13)が「砂風呂遊び」をしていて重体となった事故で、一緒に遊んでいた生徒が砂を掛けた際、砂が生徒の気管などに入って呼吸困難になった可能性があることが10日、宇都宮中央署の調べで分かった。一緒にいた生徒は、同署の聴取に「ばかなことをやってしまった。反省している」と泣き崩れた。ゲーム感覚で加減ができず、悲劇を招いてしまったのか。市教委は同日、市内の小中学校に砂風呂遊びの実態について調べるよう指示した。

 ■気管、胃から砂

 砂風呂遊びをしていたのは、重体の生徒を含む6人の同級生で弓道部に所属。事故が起きた8日は午前中、宇都宮市内で行われた審査会に参加した。審査会は午後0時半ごろに終了。顧問の教諭が運転するマイクロバスや保護者の車に分乗し中学校に戻り、午後2時ごろに解散したという。

 その後、6人は改めて中学校に集合、校庭でキャッチボールをして遊び、道路を挟んで向かい側にある城山中央小学校に向かった。同5時前から、中学校から備品の作業用スコップを持ちだして深さ約70センチの穴を掘り、4人がひざを抱えるように座り、首まで埋まった後、早く抜け出すのを競った。重体となった生徒が最後まで抜け出せず、他の5人から砂をかけられているうちにぐったりしたため、引っ張り出したが、その場に倒れ込んだという。

 生徒を搬送した宇都宮市西消防署によると、救急隊員が現場に駆けつけたとき、すでに生徒に意識はなく、吸引機を使って生徒ののどをふさいでいた砂をかき出すとともに酸素吸入を行い、市内の病院に搬送。砂は気管のほか胃からも見つかった。

 ■なぜ悲劇が…

 城山中学校では9日夜に緊急の保護者会を開き、事故の経緯と今後の対応を説明。駆けつけた保護者約200人に「子供の心のケアを最優先に」(富田友子校長)と理解を求めた。今後、臨床心理士やスクールカウンセラーを学校に常駐させ、生徒のカウンセリングにあたるという。10日午前には富田校長が校内放送などで事故の経緯を説明した。

 富田校長や同級生の話によると、6人の生徒は休日になると一緒に遊んでおり、仲がよかったという。学校側が実施したいじめに関するアンケートでは、重体の生徒についての情報はなかった。

 同署によると、砂風呂遊びは、9月下旬から今月にかけ3、4回、小学校の砂場で行われていたという。同署では、生徒の気管などに砂が入った原因などについて調べを進める。

 重体に陥った生徒は、今夏の地区大会の優勝メンバーで、「思いやりがあり、みんなと仲良く遊べる生徒」(富田校長)。同じクラスの男子生徒(13)は「先生に怒られた生徒をかばったりする優しい人。早くクラスに帰ってきてほしい」と肩を落とした。

 富田校長は、重体の生徒の両親と病院で面会した際、母親から「(生徒ら6人は)いつも大変仲がよく、こんなことになって心を痛めている」などと言われたことを明かした。

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