11月15日8時4分配信 サンケイスポーツ
大相撲九州場所6日目(14日・福岡国際センター)武蔵川部屋の元大関コンビが全勝を守った。雅山(31)が栃煌山(21)を寄り切り、出島(34)は栃乃洋(34)を突き落とし、ともに6連勝。雅山は平成10年名古屋場所で初土俵を踏んでから11年目で初優勝のチャンスが巡ってきた。横綱白鵬(23)は琴奨菊(24)を寄り切り、1敗を堅持した。
だてにトシを重ねてきたわけじゃない。31歳の雅山が10歳年下の新鋭・栃煌山を右四つでつかまえ、体を寄せる。179キロの圧力に、相手はたまらず土俵を割った。寄り切って、平成16年名古屋場所以来となる無傷の6連勝。26場所ぶりの快進撃にも、冷静だった。
「相手におっつけられて、いなされて。完全な負け相撲でしたね。勝ったのはたまたま。早く勝ち越したい。勝ち越さないと始まらないので」
毎場所、初日にひげをそるのが習慣。通常は数日後にそり直すが、今場所は無精ひげを残した。「誰だってゲン担ぎするでしょ。伸ばせるだけ伸ばしたい」。風呂場で洗う場所は腕から。“決めごと”を守る執念が、6つの白星を運んできてくれた。
毎日が恩返しだ。この日の朝げいこ。軽くしこを踏んでいると、師匠の武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)から怒声が飛んできた。「汗をかくまでしこを踏んでから、ぶつからないとダメだ!」。2場所目に突入した理事長職が多忙でも、弟子のほんのわずかな緩みも見逃さない。師匠の情熱を痛感した。同じく6連勝の出島も「雅山や(新十両の)翔天狼についていきたい」と共闘宣言だ。
雅山に、平成10年の初土俵以来、手が届かなかった賜杯が近づいてきている。「よく体が動いているね。頑張って、盛り上げるつもりでやってもらいたい。褒めるのは場所が終わってからだよ」。武蔵川理事長も、千秋楽の表彰式での対面を心待ちにしている。博多に吹き荒れる武蔵川旋風。朝青龍は不在でも、元大関の奮闘は必見だ。