11月26日9時49分配信 京都新聞
ホームレスは定額給付金をもらえるのか-。そんな不安が京滋のホームレスや支援者の間に広がっている。給付金は住民票の所在地に基づいて支給される可能性が高い。窓口となる市町村も「住所不定のホームレスへの支給は難しく、解決策も見つからない」とお手上げ状態だ。
定額給付金は、与党の景気対策と生活支援の柱。1人当たり1万2000円を支給し、18歳以下と65歳以上には8000円を加算するとしている。
国は支給方法について、口座振り込み方式を軸に検討しており、ホームレスやネットカフェ難民ら住所不定の人にどのような方法で支給するかについては明言していない。
京都市は「不正受給を防ぐために、住民票などで住所地や本人確認できなければ支給は困難」としている。
しかし、住民票に記載されている住所地が存在しているとしても、家族と絶縁状態にあるなど複雑な事情から、ホームレスが住所地に戻って給付金を受け取ることは難しい。
京滋のホームレスや支援団体にとって切実な問題だ。京都市内の鴨川沿いで生活する男性(53)は「(給付金は)本当に必要な僕らに行き渡るようにしてほしい」と訴える。
男性は、集めたアルミ缶を換金して生計を立てているが、金融危機発生後、買い取り価格が急落。「食事の回数も1日2回に、風呂は週1回に減り、生活は苦しい」と表情を曇らせる。
23日朝。左京区の京都大キャンパスではホームレスの自助組織「みやび」が手作りの豚汁を学生らに売っていた。メンバーの1人で、鴨川沿いの橋の下に住む城地昭博さん(55)は「国が私たちのことを考えてくれているわけがない。(給付金は)期待していない」とあきらめ顔だ。
滋賀県の支援団体「おうみよまわりの会」の林弘夫さん(57)は「ホームレスだけが支給対象外となれば、国に見捨てられたような気持ちになるに違いない」と心配する。
給付金が抱える仕組みの矛盾に、京都市内の支援グループ「きょうと夜回りの会」の本田次男さん(53)は「間に合わせの給付ではなく、根本的な生活支援策を始めるべきだ」とする。