「信州お出かけ食べルート」がガイド本に 長野

12月3日8時5分配信 産経新聞

 長野県内の観光地と信州ならではの名物料理を組み合わせ、1日で回ることができる19のコースにまとめた「信州お出かけ食べルート」を県商工会連合会の青年部・女性部が発表した。「地元若衆・女衆がこっそりおしえる」と銘打ち、県内をすみずみまで網羅したコースになっている。無料ガイドブックとして発刊する予定で、観光客らに「地元民しか知らない味に出合って」とPRしている。(高砂利章)

 「広い長野県にはまだまだ多くの人に知られていない、隠れた味があるはず」と、同連合会が昨年11月から取り組みを始めた信州お出かけ食べルート。約1800人が所属する「フットワークの軽い」青年部と、女性部約5600人が協力して調査にあたった。

 長野市内のホテルで先月14日に開かれた発表会では、19ルートの中から4つが詳しく紹介された。

 長野市をはさんで東西に延びるルートNo.16は「栗の町」小布施町がスタート地点。特産の丸茄子を味わった後、個性的な温泉が連なるお隣の高山村で野菜のたくさん入ったすいとん「ひんのべ汁」を平らげ、ルートのメーンとなるジンギスカン街道へ向かう。

 信州新町では昭和初期から羊の飼育を始め、戦前から羊肉を食べていた。昭和57年には肉用品種を導入。高原地帯で育てられているサフォーク種の肉は羊独特の臭みがなく、柔らかくて甘い。町内を貫く国道19号沿いにはジンギスカンを味わえるレストランが10店ほど並ぶが、それぞれの店によってタレや焼き方などに工夫を凝らしていて、「好みの味」を求めて店巡りをするのも楽しい。

 坂城町では郷土料理の「おしぼりうどん」。地域産のねずみ大根をおろして絞った汁にみそや薬味を加えて作ったたれに、めんをつけて食べるさっぱりとした味わいだ。

 旅の最後は戸倉山田温泉。ついつい食べ物ばかりに焦点を当ててしまったが、ルートガイドでは、それぞれの味を楽しめる店のほかに、周辺の観光名所も紹介してある。

 全19ルートとも、信州の山川土がはぐくんだ地元の味にこだわり、掲載も町村部の名物料理や特産品が中心。ルートNo.16でも、長野市などは川中島古戦場近くの老舗おでん店を少し紹介しただけで、あっさり通り過ぎている。

 「地元に住んでいながら、こんなに知らない料理や特産品があったとは。実際に調査にしてみて驚いた」と県商工会青年部連合会の森口輝臣会長(40)。会長の住む県最南部では、南アルプスの懐深くにあり「日本のチロル」と呼ばれる飯田市「下栗の里」を訪ね、県選択無形文化財の「二度いも」を使った田楽や猪鍋を掲載した。

 「県民にとっても観光客にとっても長野県の良さを見直してもらうきっかけになれば」と、全19コースを1冊にまとめ、来年1月にも発行して旅行会社や道の駅などで無料配布。インターネット上のホームページでも紹介する予定だ。

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