12月12日21時50分配信 毎日新聞
与党の09年度税制改正大綱は、選挙を意識した与党内の空気を反映して政策減税が目白押しとなった。では、日々の暮らしはどれだけ変わるのか。主な減税を点検した。【赤間清広、井上俊樹】
■住宅ローン
麻生太郎首相が「過去最大規模に」と指示した住宅ローン減税は09年から13年までの入居者が対象で、10年間で最大500万円(耐震性の高い長期優良住宅は600万円)の減税が受けられる。現行の住宅ローン減税(最大160万円)から大幅に拡充される。ただ、最大減税額が適用されるのは09年から2年以内(長期優良住宅は3年以内)に入居した場合で、11年入居なら400万円、12年入居なら300万円と入居が遅いほど減税額は少なくなる。
現行の住宅ローン減税は、所得税からしか税額控除できなかったが、所得税から控除しきれない分は新たに住民税からも最大9万7500円まで差し引けるようにした。これにより、納税額が少ない中低所得者の控除額が増える。
ただ、大和総研の試算では、09年に入居した900万円の年収の人でも、所得税と住民税の10年間の納税額が最大減税額の500万円には届かず、減税の恩恵をフルには受けられないなど、減税の効果には所得格差が存在する。
■自動車
電気自動車やハイブリッド車などの低公害車を09年度から3年以内に購入した人は自動車取得税と自動車重量税が50~100%減免される。優遇は3段階で、ハイブリッド車や電気自動車の場合、購入時にかかる自動車取得税と自動車重量税を100%免除。他の車も燃費や排出ガス性能に応じて75%または50%税金が軽減される。
トヨタ自動車のハイブリッド車「プリウス」の場合、約7・5万円の自動車取得税と5万6700円の自動車重量税がゼロになり、購入時にかかる税金は自動車税(最大3万4500円)だけになる。
■福祉
高齢者や障害者向けには、09年度から2年間、住宅の段差をなくしたりトイレや風呂に手すりをつけるバリアフリー化に掛かった費用の10%(上限200万円)まで課税所得から差し引くことができる制度を設ける。
また、生命保険料の所得控除適用限度額は12年以降、現行の計10万円から同12万円に広がる。ニーズが高い介護・医療保険料に対する控除制度(最大4万円)を新たに設けるため。これに伴い、一般保険料(遺族保障)控除、個人年金保険料(老後保障)控除の限度額はそれぞれ現行の5万円から4万円に縮小される。