<入浴死亡事故>原因究明の体制づくりを要請 関連学会

12月15日19時23分配信 毎日新聞

 日本温泉気候物理医学会(猪熊茂子理事長)と日本法医学会(中園一郎理事長)は15日、入浴中の死亡事故の原因究明に取り組む体制づくりを求める声明をまとめ厚生労働省、消防庁、警察庁などに送付した。入浴中の死亡事故は年約1万4000件に達するとみられるが、大半は死因が解明されず、溺死(できし)や心不全として処理されているという。両学会は「入浴時の死亡は冬に多い。死因をはっきりさせ、安全な入浴法を呼び掛けるべきだ」と訴えている。

 声明は「入浴時の事故原因解明では解剖や画像診断などはほとんど行われず、医学的に未解明な点が多く残されている」と指摘。入浴時の事故原因を解明する体制を国の関係省庁、医師会などが協力して整備すべきだと求めた。

 札幌市消防局の調査では救急出動のうち入浴関連の事故死は全死者の7.4%を占め、交通事故の1.5倍に達した。秋田県内の調査では、入浴中の死亡事故数は増加傾向で、07年の死者数は188人と01年より7割も増えた。

 入浴時の事故に詳しい吉岡尚文・秋田大副学長(法医学)は「入浴時の死亡は70歳以上で急増する。時期は12月以降が特に多い。死因が詳細に分かれば、科学的な根拠に基づく予防が可能になる。死因の解明には解剖などの実施が不可欠で、医師だけではなく行政、市民の協力も必要だ」と話す。【永山悦子】

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