社員5万人を率いる日本航空・西松 遙社長の倹約ぶりが、アメリカで称賛を浴びている。
東京・品川区の日本航空本社ビルで、多くの社員とともに西松社長が昼食をとっていた。
西松社長が食べていたランチの値段は、サラリーマンの平均昼食代570円よりも80円安い、490円だった。
実は西松社長、不況にあえぐアメリカで、称賛を浴びているという。
アメリカ自動車大手3社、いわゆる「ビッグ3」のトップらは、総額340億ドル、日本円でおよそ3兆2,000億円もの公的資金による救済を求めている。
ここ数年の経営不振にもかかわらず、巨額の報酬を得ていたうえ、公的資金投入を議論する公聴会には、専用ジェットで乗りつけ批判の的になっていた。
11月24日、オバマ次期大統領は「鈍感だね。アメリカで何が起きているかわかってるのかな」と話していた。
そんな中、西松社長の倹約ぶりが11月にアメリカCNNで紹介された。
このVTRがインターネット上に転載されると、20万件以上のアクセスがあるなど大反響を起こした。
2007年、日本航空が経営危機に直面した際、西松社長は自らの年収を960万円に減額した。
17日朝も雨の中、都営バスで出社した。
そして、社員との壁をなくすため、社長室ではなく、大部屋で仕事をし、ランチは社員食堂でとっていた。
西松社長は、会計もほかの社員と同じように精算していた。
西松社長は「オムライス、切り干し大根、みそ汁で490円! これでもちょっとカロリー多すぎるかなと思うんですけどね」と話した。
こうした西松社長に、アメリカ・ニューヨークの市民は「素晴しい見本だね。適切だよ」、「経済状況を考えると、責任ある行動だよ」などと称賛していた。
しかし、このアメリカの声に、西松社長は「はた迷惑な話で、ははは。別に、そんな特別なことをやっているつもりはないし、これが自然だと思ってるんですよ。この方が」と話した。
西松社長は、バスでの出勤や社食の利用は、倹約というより、社員との距離感をなくすためと話している。
社員は「庶民的ですよね。一緒に頑張っているっていう気がする」と話した。
そして、年収を減額したことは、日本航空が2007年に導入した、早期退職者制度を利用した880人の社員と同じ痛みを分かち合うためだという。
西松社長は「自分を慰めてやったところも、半分くらいありますからね。家族と会社では反応は違いますよね。家族は、『お父さん! 何てことするの!』と。こういう時に限ってですね、お風呂場の湯沸かし器は壊れるし、居間のエアコンは壊れるし。車を車検に出せば、大修理だしね。本当にね、2007年っていうのは散々でしたね」と話した。
[17日19時42分更新]