客数微減、単価は増 白浜温泉08年の宿泊状況(和歌山)

1月12日17時16分配信 紀伊民報

 白浜町の白浜温泉旅館協同組合は12日までに、組合に加盟する26施設の2008年の宿泊状況をまとめた。宿泊人員は118万5880人、前年に比べ0・3%の減少となった。しかし、客1人当たりの宿泊単価は3・8%(約500円)増え、近年では最高の伸び率を示した。07年秋から高級魚のクエを食材に取り入れ、温泉街を挙げて売り込みに力を入れてきた効果とみられている。
 宿泊は1~6月と9月が最大10%減から前年並みとなった一方、7、8月と10~12月は前年並みから最大12%増と順調に推移し、累計で前年比4070人(0・3%)の減少にとどまった。
 組合の小竹幸理事長は「07年と06年がともに前年比約10%ずつ増えていたことや、昨年9月以降の大変な金融危機を考えると、微減にはなったがよく踏ん張ったといえる。パンダによる集客効果が大きかったので今春も期待している」と話す。
 「道路網の整備が進み日本海側や山口県方面といった、より遠方の団体客が獲得できるようになったこともプラス材料だった」と指摘する大手旅館もある。半面、大阪の泉南方面など近い所は日帰りが増えているといい、今年は団体旅行の新規獲得で競合の激化が予想されている。
 宿泊単価は07年の約1万3700円から約1万4200円になった。宿泊単価が3%台のアップを見せたのは直近では1996年(3・0%)だけ。以降は微減と横ばいを繰り返しながら下落傾向にあった。
 クエは鍋料理などに珍重されるが、漁獲が激減して量の確保が困難なため、特に大手宿泊施設では積極的にPRしにくかった。しかし、近畿大学水産研究所(白浜町)の協力で、一昨年秋に養殖クエの安定供給が受けられるようになり、昨秋からは組合加盟のほぼ全施設がメニューに組み入れた。
 ある旅館は「鍋のシーズンだけをみると2000円近く宿泊単価を上げることができ、効果は絶大。大事に育てていきたい食材だ」と話している。

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