シロアリ・腐朽菌で劣化 木造家屋地震損壊拡大 京大研究者が確認

1月19日10時9分配信 京都新聞

 地震による木造建築物の損壊の危険性を高める要因の一つとして、シロアリや木材腐朽菌による部材の劣化が注目されている。2007年7月の新潟県中越沖地震でも、京都大の研究者が調べた損壊家屋の多くで生物による劣化が認められた。居住者自らが建物を点検することが家屋を守るために必要という。
 木造家屋の部材への生物劣化は、阪神大震災で損壊した家屋でもあった。損壊には構造的な強度不足などさまざまな要因があり、生物による劣化でどの程度損壊の危険が高まるかが研究課題になっている。
 京大生存圏研究所の森拓郎助教(木質構造学)は、07年3月にあった石川県能登半島地震の調査で、損壊家屋の多くにシロアリの食害や腐朽菌による柱や土台の劣化を認めた。このため、同年の中越沖地震で、農学研究科の簗瀬佳之助教(林産加工学)と生物劣化に着目した現地調査を行った。
 震度6強で被害が大きかった新潟県柏崎市と刈羽村で損壊のひどい約40棟の建物を調べたところ、柏崎市内の家屋のほとんどで腐朽があり、約7割でシロアリの食害を発見した。損壊との関係は不明だが、接合部の「ほぞ」がシロアリに食い尽くされるなど、損壊の要因となった可能性が高い家屋もあった。
 ■「自己点検で発見を」
 京都や滋賀にいるのは食害の進行が比較的遅いヤマトシロアリで、早期に発見すれば対策は立てられるが、「羽アリが飛ぶようになったら危ないので、早急に対処しないといけない」と森助教はアドバイスする。「シロアリや腐朽菌の被害は、床下やトイレ、台所、風呂などの水回り、雨漏りの場所で危険性が高い。活性化する5月以降に自分で調べれば見つけることができる」という。シロアリ駆除の業者とのトラブルも報告されていることから「まず自分で点検してほしい」と話している。

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